無意識日記々

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「ぬぜじやれそおべぷめ」

CD買ったらLSAS2022の話をしようと思ってたのに全然してない…っ

! 見所聴所盛り沢山の60分だというのにやれやれだぜ全くもう。

このライブで驚きなのはやはりその人力の割合だ。メイキングで語られていた通り、そもそものトラックが人間の演奏を想定していない為どれを誰が弾くかとか同時に鳴らせる音の総数とか、元々は全く考慮されていない。バンドサウンドという“縛り”で最初からヒカルが編曲したらどうなるかというのは昔から興味があるのだがヒカルにそんなつもりは依然無いようだ。

そしてリハーサル期間が3週間…! 人によるだろうが、私はこれを相当短いと感じた。バンドメンバー達はその多くが初耳の楽曲ばかりだ。レコーディングに参加した楽曲であっても、基本各楽器は別録りだから一緒にせーので演奏した経験もない。なんだったら、自分の演奏のどれがどこで実際に使われたか把握してない人もいるだろう。そういうのはミックスダウンの時点で決まるのが通例なので、ミックスに立ち会っていない人に選択権はない。

そんな状態で集まって、話し合いながら楽器の割り振りを決める…だと? 無理難題もいいところだ。

しかし、やはり、今回の円盤でもみてみたが、こいつら楽譜を見ている様子がない。この複雑極まる割り振りをみんな丸暗記している…のか? 俄には信じられない。未だに「カメラワークで楽譜代わりのiPadが隠されているのでは?」と探す日々である。

普通にメロディを弾いたりリズムを刻んだりといったものなら丸暗記もわからなくはない。それぞれの楽曲のコード進行の流れが身体に入ってしまえば記憶の取り出しも(相対的には)容易だろう。だが、今回のヒカルの作ったサウンドではサウンド・エフェクト(SEってやつですね)に分類されるべきパートがてんこ盛りである。音の連なりというより、ただの音。これを丸暗記するのは至難の業ではないか。例えば誰かが丸暗記テストをするとして、同じ十文字でも「ありがとうございます」なら簡単に覚えられる。だが「ぬぜじやれそおべぷめ」みたいな意味のわからない文字列はすぐに暗記とはいかないだろう。この連中は1時間、複数の楽器を使い分けながらそれをやっているのだ。全く以て理解の範疇外である。

「これは今回いちばんラクだったのはヒカルだな」と配信の時は思ったのだが、いやはやそん時そう日記に書かなくてよかったよね。まさか直前まで声が出ていなかったとは。座長としてみんなに指示を出さなきゃいけないわ自分の声のケアもしなきゃいけないわで結局いちばん大変だった。

難産だったろうプロセスをすっかり覆い隠して、しかし、メンバーたちは緊張した面持ち且つ慎重な手つきながらも楽しんで演奏している。『PINK BLOOD』で醸成された熱気など大したものだ。今回の楽曲の中でもいちばんその「サウンドエフェクトっぽいパート」が沢山あるにも拘わらず! …いや、だからこそ気合いが入ったとも考えられるか。

もうこのメンバーでそのままツアーに出て欲しいよね。これだけヒカルの意を汲むプロフェッショナルな人たちに囲まれていれば歌の調子も上がろうというもの。ヒカルはコラボレーションに大事なのはパーソナリティだと言っていたけど、こういう人たちに巡り会えるのもヒカルの人徳と天運みたいなものなのだろうか。ここで見せたそういう「引き寄せ力」もまたアルバム『BADモード』のテーマの1つなんだろうかな。