「ヒカルさんが選んだ」という言い方に引っ掛かりはあったものの、それは経緯への疑問であって、結果としての作品は美事なものだ。ヒカルさんの発言もいちいち頷ける。
何より、「トリニティ」と『Somewhere Near Marseilles ーマルセイユ辺りー』の組み合わせというのがいい。これ、後出しで言っても何も面白くないが、あたしも『Somewhere Near Marseilles ーマルセイユ辺りー』に関しては“try-angle”というテーマでも書こうと思ってたのだ。「して3よう」みたいな感じかな。この並びだと何故か「3」が藤子不二雄のおちょぼ口に見えてくるんだけど。
『Somewhere Near Marseilles ーマルセイユ辺りー』の主要テーマのひとつは「3」である。理由は至極単純明快、出てくる場所が
・ロンドン
・パリ
の3箇所だからだ。こんなに明快な理由があろうか。肩透かしだと感じた人ごめんなさい。
しかし、この歌他に何にも中身がないんだもん。『よ・やっ・くぅ~♪』が注目されたあの感じそのまんまというか、12分近くあるのに歌詞は軽快そのものなのだ。
なので、「トリニティ」に対するヒカルの
『「一つ」でもあり「三つ」でもあり、様々な表情を見せる古のなぞなぞのような魅力を持つ「トリニティ」』
とか(ここの『古』は多分“いにしえ”ですわね)、
『キリスト教の三位一体や仏教における三身があるように、「3」は真理を追求する者にとって特別な数字なのかもしれませんね。』
とかいった発言は、いや勿論真剣に話をしてるんだろうけど、オーシャンビューを予約するウキウキ感とのギャップがなんだか面白い。
なおあたしの"try-angle"というキャッチだが、三角形の"triangle/トライアングル"と、歌詞の
『Shall we try to plan a rendezvous vacay ?』
の"try"をかけたものだ。実際、「これは何について歌った歌・なの?」と訊かれたらこの一文を紹介するだろう。「2人が休暇中に会う約束を計画しようとする話」ですわね。日本語でも英語でも同じ事を歌っていて、その主旨を端的に表現してくれている。それがしかしまさか、カルティエのトリニティと繋がるだなんてそこまで想像が及ばなかった。ぬかったわ!