なんだかなし崩し的に『Somewhere Near Marseilles ーマルセイユ辺りー』の話に移行していきそうだなぁ…ってそりゃあたしの匙加減一つなんですけど、ヒカルさんがあんな美麗なアピアランスを見せてくれたらどうしたって動画再生しちゃうじゃないですか…そうしたらマルセイユの音が流れてくる訳で、そうなるともうアタマがそっちに行っちゃうのよね…まだ『Find Love』&『キレイな人(Find Love)』の歌詞の話の途中なのになぁ…。
いやね、これには順番てものがあるんですよ。というのも、『Somewhere Near Marseilles ーマルセイユ辺りー』の歌詞って、アルバム『BADモード』に於いて、2021年12月28日というギリギリの日付まで歌詞が完成していなかった『気分じゃないの(Not In The Mood)』を除けば、いちばん最後に歌詞が書かれた楽曲なのですよ。
その為、全く短い歌詞の中に、それまでに作られた曲を受けたフレーズが幾つか散見される訳です。
例えば、冒頭のこの歌詞。
『Give me something strong enough』
「十分に強い何かをください」みたいな意味ですが、これは『Find Love』に於いてヒカルに
『Getting stronger isn't easy baby』
─『楽して強くなれるわけないじゃん』とたしなめられた為にあるような一節ですし、その次の
『Maybe I'm afraid of love』
─「たぶん私は愛が怖い」だなんてのは、2019年にアルバムの口火を切った『Face My Fears』での『向き合ってみよう 私が恐れている其れと』という問い掛けへの「向き合ってみたら其れは愛だった」という返答のようなものにも思えるし、『Find Love』の
『私の中のどこかにあるって
分かってる
ただ愛を見つけようと
してるだけ』
という一節に対して「見つけてみたら怖かった」と吐露しているようにも思えてきます。
更に次の
『Say I'm not the only one, the only one』
─「私はただ一人じゃないって言ってみて」みたいなことですが、これもまた『キレイな人(Find Love)』の
『最高のパートナーなら一人
いるじゃない、ここに』
と対になったセンテンスなのかと感じられます。そうなってくるとコーラスの
『Let's go fast, then go slow』
─「速く行こう、そしてゆっくり行こう」すらも、『Find Love』の
『Slow down, you won't get there by hurrying』
『焦らないで、急いでも辿り着ける場所じゃない』を受けての折衷案(!?)か何かのように思われてきます。
斯様に、『Somewhere Near Marseilles ーマルセイユ辺りー』は、アルバム『BADモード』の他の曲、とりわけ『Find Love』&『キレイな人(Find Love)』から歌詞の面での連続性を感じさせるので、まずは『Find Love』&『キレイな人(Find Love)』の歌詞の話を一区切りさせてからこの『Somewhere Near Marseilles ーマルセイユ辺りー』の話に移りたかったのです。が、このような状況になった以上仕方がないので、アレもコレもソレもドレも全部混ぜっ返しながら参りますわね(!)。折角のカルティエとの大型タイアップの空気感も感じながら、この12分弱の長旅となる大名曲の世界を巡り廻って参りましょうか。