無意識日記々

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夕陽と朝陽の行方

『twilight & sunshine』について少し補足しとくか。前回の記述は個人的な感想に過ぎないのでね。それあなたの感想ですよね?w

『Somewhere Near Marseilles ーマルセイユ辺りー』は世界的な感染症禍下の中で(また感染者数が増えているので皆様くれぐれも情報の摂取にはお気をつけを。よりによって明日から夏休み?3連休?大丈夫??)、そこからの解放感、人に会える「願い」を歌ったものだ。故に、オーシャンビューの部屋を『予約』するところまでで歌詞は終わっていて、少なくとも歌の中ではマルセイユに辿り着けない。それを予感させる所までで留まっている。

楽曲の後半の歌詞は

『I'm gonna give it to you

 I'll get a room with a view』

を16回繰り返しその間に

『Let's go fast, then go slow

 Not too far, not to close』

を3回挟んでくる構成だ。3回?4回じゃなくて? そう、最後にここの部分がもう一度歌われるかと思いきやそこで途切れてアウトロなのだ。そしてアウトロは、前に述べた通りイントロにそのまま繋がっている。

この構成の意図するところは、

「速く行こう、そしてゆっくり行こう

 遠過ぎず、近過ぎず。」

から更に先に行くと、マルセイユに着いちゃうからだね。だから、そうならないようにしてある。なので、ちょっと切ない。実際、かなりアッパーに進んでいく前半に較べて後半は不穏さが増していくアレンジになっているし、歌詞も↑の部分しか出て来ない。16回も繰り返されるもんだからしまいにはまるで譫言(うわごと)のように感じられてきたりして、ただ軽快で楽しいだけの歌ではない。

そんな楽曲の中で、いちばんマルセイユというか、目的地に近づいた感じが出るのが件の

『In the twilight

 In the sunshine

 In the twilight

 In the sunshine』

のパートなのである。歌詞のどこにも明示されていないしインタビュー等でもそんな説明はなかったが、前回書いた通り私はここを

「飛行機が滑走路に降り立つ直前の景色」

を描いてあると信じている。皆さんもそこは自分なりに解釈して欲しいが兎に角、こう言っていいのかどうかはわからないが、このパートは「本来この歌のエンディングになる筈だった」パートなのではと踏んでいる。オーシャンビューの部屋を予約して、飛行機に乗って、もう君に会える寸前!てとこで曲が終わる。とてもイメージしやすい。実際、英語の歌詞としてはここまでの流れでひとまとまりになっている。このあと日本語歌詞が出てくる構成だが内容はその英語歌詞のほぼ直訳だ。この、英語のみの1番と、日本語と英語交じりの2番という構成は、ヒカルが具体的に想定した相手が英語話者でその人の心境が1番に描かれていて、日本語と英語両方使うヒカルの心境が2番に描かれている、という見方も出来る。離れた場所で、違う言語で、でも全く同じ事を思っているというのを1番と2番の対比で描いたんだわね。その2人が片方は夕陽を浴びながらマルセイユに到着し、もう片方は朝陽を浴びながらマルセイユに到着してもう少しで会えるんだ…というストーリー。

しかしこの物語は、前回指摘した通りちょっとわかりにくい。ロンドンパリからマルセイユまで1時間半とか2時間とかなんだから。だからこその

『Not too far, not to close』

「遠過ぎず、近過ぎず。」なのである。結局、この「夕陽と朝陽」のパートがエンディングになることはなかったので、「なんだか少し不思議な展開部」としてこの歌の前半で一度だけ歌われて斯様な決着をみている訳だが、だからこそ『Somewhere Near Marseilles ーマルセイユ辺りー』はエディットやリミックス、リプロダクションを制作して、或いは制作して貰って、様々な“結論”を導き出して欲しいのだ。この幻惑させる曲展開と歌詞構成がどう生まれ変われるか、多様な解釈が有り得そうで、想像するだけで興奮しちゃうぞ。