で『EXODUS』全米発売日から明けて本日はその収録曲『Easy Breezy』DVDシングルの日本発売日。YouTubeがまだ産声を上げる前の映像作品なので基本的には"ここでしか観られない"コンテンツだったのだが発売初週の売上枚数は10000枚余り。11000枚に届かなかった筈。同年『Utada Hikaru Single Collection Vol.1』が発売され年間では2位にダブルスコア並みの差をつけ売上枚数的に圧勝だった宇多田ヒカル。同じくUTADAの『EXODUS』もミリオンセラーで年間6位の特大ヒット。そんな状況での初週1万枚は、如何にそんな当時でもヒカルの固定ファン─リリースがあったら何でも必ず買う層─が少なかったかの証左となった。
そんな状況は今でもそんなに変わらない。限定モノの販売数は毎度5000~20000枚といったところ。18年経っても固定層のサイズ感はおんなじだ。
故にコンテンツ毎の内容のクォリティが重要なのだが、確かに『Easy Breezy』のプロモーション・ビデオは『traveling』などの斬新な映像美で一世を風靡していた当時の宇多田ヒカルのそれと較べれば凡庸な内容で、ファンとしてもヒカルの水着姿とメイキングの笑顔くらいしか見所のない作品だった。
2022年の現在も、いやさYouTubeが猛威を揮ってる─どころか生活インフラになった現在では、余計にビデオの出来が未来を左右する。ヒカル史上最大のミュージック・ビデオとなった『One Last Kiss』MVの再生回数が、6年間積み上げてきた泣く子もまた感動して咽び泣く永遠のスタンダードナンバー『First Love』の再生回数をこの度抜き去った。教えてくれたのなかさんどうもありがとう♪
僅か1年半前にアップロードされた同動画がここまで支持されたのも、勿論シンエヴァの好評価が最大の後押しではあるものの、映像作品としての出来栄えがホモサピエンス史上最高峰に位置づけられるクォリティだったというのが大きいだろう。やはりコンテンツの質は大事だ。固定層が薄ければ尚更である。
そう考えたときに、『Somewhere Near Marseilles ーマルセイユ辺りー』のSpotify限定ビデオシングル映像は、配信プラットフォームが一つのみであることと、本来横長の方が映えるコンセプトを縦長配信したことの二つの限定要素が、どうにも可能性を狭めている気がしてならないのである。確かに発案がSpotifyで予算も出してくれたのだろうから彼らが潤うのはいいことなのだが、宇多田的には全プラットフォームでこの『BADモード』中最大(尺的にもね☆)の話題曲をもっと広範にアッピールしていきたいのではないだろうかという懸念がまだまだ拭えない。こうして過去の大名曲の実積を新参曲が抜き去っていくのが今の宇多田ヒカルのアーティスト・パワーなのだから、こういうところもどんどん突破していってほしいなと。要はとっとと横長版をSpotify以外からも出せ!ということなのだがなかなかに難しいだろうねぇ。せめてフィジカルで売ってはくれまいか。上記の通り、10000枚程度なら買ってくれると思いますので…ね?