無意識日記々

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まずは謎の三部構成の感想から


『Gold  また逢う日まで〜』もそうだったんだけど、今回の『何色でもない花』もまた私は先に公開されたバラードパートの時点で満足感を感じていたので、ある意味フルコーラスはリラックスして迎える事が出来た。にもかかわらずそれであっても「こうくるか!」と唸らざるを得なかった。歌詞もサウンドも。


まず、ヒカルの発言をそのまま引用しよう。


『あと、こんなの初めてなんですけど、8分の6拍子と、4分の4拍子と、また8分の6拍子っていう、なんか謎のタイム・シグネチャーの三部構成になってるんで、なんかそれをみんながどう体感ていうか、どう感じてるのかなとかどう思うのかなって、聴いてくれた人の感想が、楽しみです。』


そう、今度は三部構成で来たのだ。しかも、普通なら三部構成といえば「メインパート〜サブパート〜メインパート」という、最後に出だしに戻る展開(所謂ダ・カーポですね)を想像するのだけど、『In love with you』という歌詞は共通しているとはいえ全く異なるアレンジでそのままカットアウトするという荒技に出てきやがった。終わり方の唐突さという点でいえば2008年の『テイク5』以来のインパクトだったかな。ただ、私聴いてる時にこの最後の8分の6パートを迎えながら、「あれ?このあとなんか言うことあるかな?」と思うや否や曲が終了したので、恐らくこの曲はこうなるのが自然なのだと思う。聴き始めは新規さがまさっていて冷静な判断は出来かねる感が否めないが、ひとまず「これはこれでいいんだ」という気持ちだ。


冷静に考えると、4:03というあわや3分台に足を突っ込みそうな、ヒカルの曲の中でも短めのトラックで2回もリズム・チェンジして、それが無理矢理に聴こえないってとんでもないセンスと構築力なのだが、歌詞の流れだけを取り出すと確かにこれはこれでちゃんと言いたいことを過不足なく描写しているなと感じられる。


そこらへんの「過不足のなさ」は、ひとつ例を取ると、この曲は2度


『だけど

  自分を信じられなきゃ

  何も信じらんない』


のパートが出てくるんだけど、一度目と二度目で聴き手の受け取り方が変化していれば、この曲は「役割を果たした」と言っていいんだと思う。そこらへん、今後細かく解明していけたらなと思います。


でもねぇ。このあと更に次の新曲が控えていたり当然それに伴ってベスト・アルバム発売にツアー決行という流れなので、果たしてどこまでじっくりみていけるやら。この歌は時流を左右するというよりは、世の中の流れから一旦離れて俯瞰して物事をみつめる視点から描かれているように思うので、少し浮世離れしたモードであたりたいのよね。うん、なんとか試みていきますよっと。