『誓い』と『何色でもない花』といえば、音楽面ではそのリズムに共通点がある。どちらも8分の6拍子を採用しているのだ。
この8分の6拍子というのがなかなかに曲者で、解釈次第で2拍子になったり3拍子になったりする。図式化してしまえば、
タリラリルラ
という6つの音を
タリ・ラリ・ルラ
と2つの音からなる3つの組に分けると3拍子、
タリラ・リルラ
と3つの音からなる2つの組に分けると2拍子となる。解釈次第なのだ。
「分ける」というのは、それぞれの冒頭の音を強く鳴らすのが基本だ。「タリ・ラリ・ルラ」ならタとラとルの音を強く鳴らし、「タリラ・リルラ」ならタとリの音を強く鳴らす。まぁそんな感じ。
8分の6拍子は、作り手としては2拍子のつもりか3拍子のつもりかそれなりにハッキリしているものだけど、聴き手の方は好きに解釈すればいい。歌ったり演奏したりする人も、歌いやすい、演りやすい区切りでいいかと思う。裏を返せば、『何色でもない花』や『誓い』のリズムがどうにも取りづらいという人は、もう片方のリズム解釈をしてみるのも試みとしてはアリかもしれないね。
で。『何色でもない花』は、2分21秒からなるショート・バージョンを聴いた限りではピアノのリズムが「タリラリルラ」と流れていて、これは「タリ・ラリ・ルラ」と3拍子で解釈される事が多いだろう。たた、上記のように「タリラ・リルラ」と2拍子で拍子をとっても特に破綻はない。寧ろ淡々と歌うにはこちらの方がなだらかさが出ていいかもしれないくらい。3拍子というとどうしてもワルツのリズム、社交ダンスみたいな楽しい感じが出てしまうので、2拍子の単調さの方がこのヒカルの歌には合ってるまであるかもしれない。ま、好き好きで。
今の所そのリズムはそういう意味では素直なものなのだが、同じく8分の6を採用した『誓い』の方はというと、3拍子かと思いきや急に歌が16ビートの符割でやってくるというかなり変則的な構成になったいた。
『たまにこ・らえられ・なくなる・なみだに』
みたいなね。4文字+4文字+4文字+4文字=16文字。こうなってくると複雑化が止まらない。
2018年の歌ですらそんな複雑さだったのだから、奇想天外な曲展開で話題を攫ったアルバム『BADモード』とシングル『Gold 〜また逢う日まで〜』を経た今のヒカルが、果たしてこの『何色でもない花』でどんなややこしいリズム構成を聴かせてくれるか。既に少し第2話の予告映像で聞こえてきてる気もするけど兎も角、新曲に於いて楽しみでならないポイントのひとつであることに間違いはありませんわ。