無意識日記々

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『SCIENCE FICTION』がライブを意識してる傍証


『SCIENCE FICTION』が「ライブ予告盤」であると私が主張するのは、例えば全体的に曲の終わり方がカットアウト気味になっている傾向にある事からもわかる。私としては小さい頃から「フェイドアウト警察」をしている身…というのは嘘だけれど、小さい頃からフェイドアウトに出会う度に「マイナス1点」するこどもだったからわかるのだが、ライブコンサートを重視する人ほどスタジオ・バージョンでフェイドアウトをしない。これは当たり前の話で、リアルな演奏でフェイドアウトなんて出来ないからだ。コンソールに頼んで各楽器の音量を下げていってステージ上でもフェイドアウトをしてみる人がいるけれど、まぁしまらない。拍手するタイミングを見失うからね、観客が。ライブ慣れした演者は曲の終わり方に拘る。拍手したり歓声をあげたりするのはここのポイントですよと明示してくれるのだ。フェイドアウトにはこれが全く無い。例えば今回、特にキャンシーの終わり方なんかがいいよね。これライブでやったら爆発的な賞賛を浴びるんでないか?


そうなのよ、曲の終わり方ってホント大事なの。6年前の『Laughter In The Dark Tour 2018』ではその『Can You Keep A Secret?』をフィーチャーした『Kiss & Cry』が大喝采を浴びていたけれど、あれも同曲の終わり方がとてもライブコンサート向きだったからだと思うんだ。最後ヒカルの短い独唱で高い歌唱力を示して終わるあの構成こそが“ライブ向きのアレンジ”の典型例。そしてキャンシーに限らず、『SCIENCE FICTION』の楽曲は全体的にその傾向が強いように思われるですよ。再録/リミックス/リマスターによらず、ね。



もうひとつ挙げたい「SFがライブを意識して作られている」と思わせるポイントがスネアサウンドだ。スネアというのは一言で言えば音楽の「ノリ」そのもので、0歳児の赤ん坊から死ぬ間際のお年寄りまで「音楽のリズムにノる」というのは「スネアに合わせて体のどこかを動かす」事と大体同義だ。なのでヒカルはこのスネアの音作りに拘るのだが(たぶん一番好きなのはクラップ(手拍子)音だと思うけども)、今回ここのミックス&リマスターにも拘っているように思う。


最も顕著だなと思わされたのが『Flavor Of Life -Ballad Version-』だ。今回のSFでは、2007年に発表されたトラックに較べて随分スネアサウンドがクリアに強調されている。なのでこの2024 Mixは、テンポ(BPM)を変えていない/上げていないのにも関わらずまるで『Flavor Of Life』のようにすら聞こえる。そう、『Don't Be Afraid/You'll Be OK』のコーラスが入っているオリジナル・バージョンの方のようにね。これも、ライブ映えを考えてのことのように私の目には映った。いや、耳に聞こえたというべきかここは。もし『SCIENCE FICTION TOUR 2024』で『Flavor Of Life -Ballad Version-』が歌われたら、「これはただのラブバラードじゃないぞ? すごく気分が高揚してくる!」とアップテンポ・ナンバーみたいに思わせる事になるんじゃないかな。



そんな感じで、ニューアルバム『SCIENCE FICTION』は、サウンドの端々節々からもライブを意識している事が窺えるので、聴いているとどうしてもライブへの期待感が高まってきてしまう。ほんに、全員当選したらいいのにねぇ。再三再四言ってきてるけど、どっかフェス出てくれんかね? 香港の日程次第で、どこのフェスに出れるかが決まるので、海外までは行くつもりのない方々も、要チェックでございますわよ?