無意識日記々

mirroring of http://blog.goo.ne.jp/unconsciousnessdiary

執筆時間制限の大事さを痛感中

梶さんが先日、チャートの上位が(担当してはる)AI以外はアニメや2chやアイドルやヴィジュアル系である事を憂いていた。伝統あるEMIのA&Rトップ(だっけ)としての率直な気持ちだろうし、気持ちはよくわかるのだが流石に今更過ぎる。

というか、そもそも既に7、8年位前から所謂邦楽勢はアニソンやゲーム・ミュージックといった"いろもの"たちに楽曲のクオリティで負けているのだ。理由は事情をよく知らない僕でもわかる。単純に、曲を書ける才能たちがそちらに流れていっただけなのだ。所謂邦楽勢、Jpopと言ってもいいが、そのシーンでやっていく事よりもアニメやゲームの方が魅力的だった…というと流石に単純化し過ぎているが、極端な話本人たちもそういう仕事はしたくないかもしれないが、実際に"ある仕事"がそっち系ばかりになっていったという事もあるかもしれない。

実際、現在チャートに載っている上位のアニソンとポップスを並べて聞き比べてみたらいい。純粋に楽曲で勝負になるのは意外にもあんまり練習した感じもしない歌を唄ってくれているアイドル勢くらいだ。これは、アイドルに曲を書けば印税が桁違いだからである。気が進まなかろうがなんだろうが稼げるなら才能はそちらに行く。その傾向が深化してもう何年も経つ。今は名実ともに"いろもの"の時代なのだ。

宇多田ヒカルはといえば、勿論作曲能力は日本一であるからして凡百のアニソンやアイドルやゲームミュージックヴィジュアル系を連れてこようが勝負にならない訳だが(わざわざそんな事を言う必要はないんだが、私はアニソンやアイドルやゲームミュージックヴィジュアル系に好きな曲が沢山あるのでかえって遠慮がない)、こと"やってくる仕事"に関してはやはり時代の流れに合わせるしかない。当たり前だ、ない仕事は受けれない。

という訳で、タイアップの変遷を辿れば時代の流れが見えてくる…という話をしようと思っていたのだが、どうにも興が乗らない。昔はCMタイアップが多かったのに段々なくなっていったのは、そもそもTVCMという枠組みにパワーがなくなってきたからだよね、だってTVCMって明らかに90年代の方が面白かったでしょ、とか初期は実写のタイアップが続いてたのにいつのまにかEVAとかFREEDOMみたいなアニメやらKINGDOM HEARTSみたいなゲームやらも入ってきたよね、とかMDなんかのCMやってたのがLISMOやレコ直になったよね、とかなんかどれも一度は書いた事のある話ばかりだからかな。今また書いちゃったけどね。

光が復帰してきた時に一体何が"稼げる"分野なのかを予想するのは難しい。いちばん恐ろしいのは、"歌"の居場所がなくなる事だ。歌という文化・現象自体は消えないかもしれないが、"新しい歌"はもう段々要らなくなっていくかもしれない。というのも、この国はこれから超々高齢化社会を迎えるからだ。パイの少ない若者向けの文化に才能が集まるだろうか? 音楽に関しては、老人に愛される懐メロばかりが持て囃されるかもしれない。リスナーもアーティストも、みんなそのまま同じく歳を重ねていく―シーンの新陳代謝なんて、若者が大量に出てきてそれを更に大量の若者が支持してこそ生まれるものだ。一億総介護の世界に、そんな活気なんてあるだろうか。ないんじゃないかな。

なので、光は英語でも歌えるのだから今後はこの国はほどほどにして(見切りをつけた方が余程潔いが)、活気溢れる新興国にでも居を構えそこで新しい音楽を創造して勝負した方がいいかもしれない。契約もちょうどグローバル企業と結んだものだ。アニソンもアイドルもゲームミュージックヴィジュアル系も、今までもそうだったがこれからも海外に飛び出していくだろう(秋元康はちゃんと考えてるよね)。そして、今後はそこから帰ってこないかもしれない。そこが今までとは異なるだろう。

勿論これは何の根拠も、いや可能性すらほぼない与太話だ。グッズをMade In Japanで固めたヒカルがこの国を見捨てる訳がない。が、そういう時代の流れの中で、グローバルに活躍できる人がこの陽の落ち始めた国にこだわってくれるのは幸運であるという事を忘れてはならない。なんか電車が止まってたせいでいつもより長々と益体なく綴ってしまったが、よく考えたらここ読みに来てる人にはあんまり関係のない話だったかな。ヒカルがどんな活動をしようが、とりあえずは注目する人でないと、本人がアーティスト活動停止中なのにそのいちファンのBlogなんかこのタイミングで読みに来ないもんねぇ。