無意識日記々

mirroring of http://blog.goo.ne.jp/unconsciousnessdiary

ripped, wrapped and trapped 03

さて、このタイトルの意味を説明してなかったな。"ripped"とは「切り刻まれた」なんていう意味になる。切り裂きジャックはJack The Ripperだ。最近では、CDやDVD等からファイルを取り出す事を"リッピング"と言うが、これも"ripping"である。

文脈としては、アルバム単位から楽曲単位、楽曲単位からパーツ(着うた)単位へと音楽の消費単位が段々と切り刻まれている様子と、今やCDってリッピングする時位しか引っ張り出さないよね、という事をかけて"ripped"と表現した訳である。

一方、"wrapped"はラッピングやらサランラップとかいうときの方のラップ(wrap)で、叩くとか叩き付けるように言葉を吐く方のラップ(rap)ではない。「包む」とか「覆う」とかいう意味で、文脈としては切り刻まれた音楽たちをもう一度覆い直してひとつの塊にするイメージで用いた。当然の事ながらrippedとwrappedで韻を踏んでいる。

となれば、第3回目になる今回は3つめの"trapped"について話さねばならない。

前回の結論は、rippedなプロセスも結局はwrappingの為の助けになるのだから、こうやって音楽の楽しみ方、接し方、手に入れ方が広がるのはよい傾向だ、といった事だった。実際のデータが手元にないので取り組んでみた事はないが、例えば「Flavor Of Lifeの着うたでいちばんよく売れたのはどこのパートか?」みたいな事を分析できるようになった訳だからより子細にファンの消費性向を把握できるような時代になったのである。

そうなってくると、Wrapする側はそのデータを元に考察を繰り広げ始める。そのパートがたくさん買われたのは、メロディーが耳を引いたからか歌詞がよかったからか、もしくはドラマのいちばん盛り上がるシーンで使われたからか、或いは逆に本編で使われなかったから他の部分も聴いてみたいという事でダウンロードされたのか―そういった分析を、今度は色々な楽曲で進める事で宇多田ヒカルというアーティストが市場でどういう風に魅力的だと思われているかの全体像が浮かび上がってくるのだ。

市場、と書くと商売じみた話かと思われそうだが、要するにひとりひとりのリスナーの集合体に過ぎない。音楽を購入する理由には種々があるだろうが結局の所は"自分で聴く為"に買っている人が大半だろう。どうやってヒカルは彼らを"その気にさせたのか"を把握していけば、ヒカルの音楽の魅力を見失わなくなってゆく。ここが肝心である。

おっと、時間か。ここから続きはまた次回のお楽しみ。