無意識日記々

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カタストロフストリングス

桜流しの最大のハイライトはやはり最後の『開いたばかりの花が散るのを見ていた木立の遣る瀬無き哉どんなに怖くたって目を逸らさないよ全ての終わりに愛があるなら』で冒頭のメロディーに戻ってくる所だろう。細々としたピアノをバックに切々と歌われていた儚げな旋律が花嵐の渦に巻き込まれるが如き音の洪水の中でこれ程迄に力強く異彩を放つとは何とも意外というか度肝を抜かれる展開だ。しかし、ここまでの編曲の運びが至極巧みな為不自然だとかとってつけたようなだとかいう印象は当然ながら微塵も感じさせない。

後半の主旋律をアルトのピアノで2回、パリトンのピアノで2回、エレクトリックベースで2回繰り返した後、突如上昇フレーズに転じるベースとそれに呼応して激しく打ち鳴らされるドラミングに導かれてこの最後の『開いたばかりの』のパートは歌われる。ここで興味深いのは、ここまで執拗に繰り返されてきた主旋律を、ベースが少しずつ突き崩していく点だ。まるでそれは、そこまで何度もオクターブを下げながら絶望の暗い闇の淵に落ち込んでいった主人公の、その絶望すら壊れてしまう様を表現しているかのようだ。特に、ドラムのタムロールが伏線となってそれに突き破られるようにしてベースラインが変化していくアレンジは圧巻である。暴虐な現実が絶望を破壊し尽くす。しかし最後の最後の小節、『全ての終わりに愛があるなら』のパートで重厚な弦楽器隊が上から覆い被さるようにして後半の主旋律を奏で静謐なアウトロに到達する、このエンディングは非常に示唆的であった。次回はこの衝撃的な終局部分についての個人的な妄想(って今週の話ずっと私の思い込みば
かりなんだけどね)をつらつら述べたいと思う。

それにしても光は、EVAQの脚本殆ど読んでなかったんだね。歌を聴いてそれはある程度思ってはいたけれど。だってあの話を知ってたら『あなたが守ったこの街』っていう歌詞入れるの躊躇するもんなぁ。シンジ君が原因でその街も破壊し尽くされてるんだから…。