無意識日記々

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『長らく歌っていきたいので』

熊淡弐で、いちばん嬉しかった瞬間といえばもうこれしかなかろう。なかなか未来の事を語りたがらない人が「ながらく」ということばを使った時点で感慨深い。

多分、根が真面目なんだと思う。将来自分の気がいつ変わるかなんてわからないから軽々に「約束」なんてしたくないんだろう。あれなんか歌の歌詞みたいだなこれ。でも、それが理由でU3MUSICはちえちゃんしか雇ってなかったのだ。ヒカルが辞めたいと思った時はいつでも辞められるように。

こちらからすれば、「約束」なんて空手形でいいのである。長らく歌っていきたい、という"今の気持ち"があって、それを教えてくれた事が嬉しいのだ。つまり、別にこの感情はHikaruがこれから長く長く歌っていく事で昇華していくものではなく、6月18日の夜にそう言われた瞬間に既にこちらは報われているのだ。未来がどうなろうと関係ない。気だって変わるだろう。しかし、少なくとも今のHikaruはそう思っている。それが聞けただけで十分だ。


…という事を前提にした上で、この発言を真に受けてみよう。今週、ブリティッシュヘヴィ・メタル・バンドのBLACK SABBATHが全米1位&全英1位を獲得した。全米1位は、1970年からの43年のキャリアで初。全英1位も1970年の2ndアルバム「PARANOID」からこれも約43年ぶり2回目の事だそうな。凄い。何が凄いって43年も音楽活動を続けて今がいちばん売れているのである。メンバーはもうみんな60代、おじいちゃんばっかなのに。

こういう事実が歴史として残るというのはとても心強い。売上はひとつの目安に過ぎないが、Hikaruだって同じように60歳を過ぎてからキャリアのピークが来るかもしれない。音楽家とは、そういう職業なのだ。我々は、これから30年40年、そういった期待を胸に生きていけるかもしれない。何ということ!

約束は、繰り返すが、別に守られなくったっていいのである。希望の灯火として我々の生きる力になればよい。大事なのは、約束を守る事ではなく、約束をしようとしてくれる事とその気持ち、その心意気なのだ。お陰で、Hikaruが歌っていない時でも下や後ろを向かずに済む。

勿論、約束を果たしてくれてもいい。今回の場合は、Hikaruの願望や欲求という体での発言であるから、約束をしている相手は我々というより未来の自分自身、未来のHikaruに対してであろう。なんだかPassionの世界観だが、約束をする事によって将来過去を振り返る時に「心から満足のいく人生だった」と価値判断する事が出来るようになる。約束とは目星であり目安であり目論見であり目標であり即ちそれは目を見る事なのだ。瞳の中に映る私は一体どんな…ってまた歌詞みたいになってるけど、Hikaruはこの一言によって、元気に生きていかざるを得なくなる。我々が元気になるのは言うまでもない。そんなに都合のいいコトがあるのかと思ってしまいそうになるが、幸福になる事を恐れてはならない。Hikaruはこれからも長らく歌っていってくれるのだ。それをひたすら信じる。我々のやる事といえばまさにそれに他ならない。