無意識日記々

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B04 First Love John Luongo Mix

という訳で予定通り(?)Dub Mixを飛ばして次に行こう。First Love John Luongo Mixだ。

このMixも、Automatic Johnny Vicious Mix と制作の目的は同じである。スタンダードなバラード・ナンバーをダンス・チューンに変えてしまおう、という。お約束通り、中央にオリジナルにはない四つ打ちのバスドラを入れ、左シンバルで裏打ちのツービート、右ハイハットで16ビートを刻んでいる。鉄壁にダンサブルな組み合わせだ。

しかし、Johnny Vicious Mixに較べ、上品というか、軽薄でない印象がこちらにあるのは、John Luongoの方がシンセの音色がよく選ばれているからだ。全体を覆う柔和な、シルクのヴェイルのような音に、短く和音が刻まれていく。左右に広がりのある中で、選ばれた音色が効果的に添えられていく。要は、アップテンポな割に気遣いを忘れていないアレンジなのだ。ダンス・ビートとそれに合わせて音符が詰め々々になった歌メロがやたらに世話しない為、その、後ろから落ち着いて見守られてる感じが何とも面映ゆい。

今回、このヴァージョンを聴き直してみて、ふと、ヒカルのあの曲に似ているなと思った。Flavor Of Life、のOriginal Versionである。

あの曲はダンスビートではない。ドラムとベースを中心とした、Pop Rockらしいエイト・ビートだ。しかし、そこを除けば、ルートあたりを探りながら少ない音数で全体のガイド役を果たすベース・ラインや、全体を包み込むような柔和な音色のシンセ、控えめにかき鳴らされてアクセントになるアコースティック・ギターなど、なかなかに共通点が多い。妖精の飛翔のように上下動する鍵盤による快活且つ幻想的な鍵盤も似ているといえば似ているか。ただ、やっぱりサビ後に重々しく鳴らされるエレクトリック・ギター・リフはFoLOV独特のものだが。


それにしてもこの対照は面白い。当初(2007年1月5日)のFlavor Of LifeといえばBallad Versionを指していて、そちらはまさに「First Loveの再来」と受け止められていた。歌詞に使われていたFlavorという単語がタイトルになっていて、FなんちゃらLなんちゃらという字面まで似ている。お陰でその頃はタイトルを間違えて「Flavor Of Love」と書く人が絶えなかった。(私も間違えた!) しかし、Ballad Versionはあクマでリミックスであり、CDシングルでもしっかり2曲目に収録されている。バラードのFirst Loveと"似ている"のは、リミックスの方なのだ。

そして、オリジナルの方はというと、今回見たようにFirst Loveのカップリングのリミックス・ヴァージョンの方に似ている、と。この、捻れというか綺麗な対称というか、いずれにしても、DISTANCEとFINAL DISTANCEをみるまでもなく、宇多田ヒカルの曲のテンポとリズムを変えてみるのは通常以上に目を引く発見があるものなのだ。こうやってあらためて聴き直してみるのもいいものである。