無意識日記々

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宇多うたウィークスは収束へ

昨日のCS特番で一通り宇多うた関連プロモーションは終了したのかな。お疲れさまでしたm(_ _)m いや収録はずっと先に終わってただろうけれども。

今回は私からすると全くの予想外となる初週2.13万枚を売り上げオリコン5位を記録するなど、いやはや見事なプロモーション戦略だった。自分がもし担当者だったら見込みを誤り売り切れ続出を招いて左遷決定だったろうから身も凍る思いだわ。自分が担当でなくてよかった。

本当に、発売週に辻褄を合わせてきたなぁという印象。そこに至るまでに「あ、これは買った方がいいのかも」と思わせる戦術。雰囲気作り。手慣れたベテランの仕事とはいえやはり上手い。一部で店頭品切れを起こしたというからそれでも見込みは低すぎたという事か。

勿論、このクラスの売上枚数の場合、何より内容の充実がいちばん効いた事だろう。井上陽水インパクト、浜崎あゆみの話題性。それぞれのアーティストのファンの皆さんも、結構気にしてくれたかもしれない。特に、iTunes Storeでシングルカットされたあゆの存在感は特筆すべきだった。彼女にとってみても、自身の実績の再評価という面でメリットが多少はあったのではないか。

ならばもっと参加アーティストを増やしておけば、更なるリスナーの流入は見込めただろうに、何故今回は13アーティストという数に区切ったのか。何か13という数字に意味はあったのだろうか。

沖田さんによれば、例えば2枚組にするようなつもりはなかったという事だ。そこまでしてしまうと雰囲気が賑々しくなりお祭り感が出てしまう、と。寧ろこの作品は、"中編小説を読むような感じで"接して欲しかったと。確かに一時間前後というのは、数十ページの小説を読むのに要する時間と大体同じだ。"ソング・カバー・アルバム"と銘打つからには、宇多田ヒカルと参加アーティストたちの"作家性"にこそ焦点が当たって欲しい。ディレクターとしての狙いは非常に明確だった。ただ、13という数字はたまたまそうなったというだけで深い意味はないらしい。「どうせなら15周年という事で15アーティストにしておけばよかったかな、と気がついたのは後になってからでした(笑)。」と彼は冗談を飛ばしていたが、取り敢えずアルバムとしてはそこまで厳密にコンセプチュアルにしていた、という訳ではないらしい。

寧ろ、彼のアティテュードとしては、オファーするところまでは想像力をはたらかせるけれども、一旦オファーが通った後は完全に各アーティストの作家性を信頼し全面委任するかたちだったようだ。そこから先は自分の中の期待を一旦白紙に戻すと。これをやってくれるディレクターはなかなか居ない。アーティストの仕事を最大限尊重してくれる態度だ。選曲の重複を回避するといった最低限の仕事は徹底し、そこから先はアーティストに出来るだけ自由にやってもらう、その方向性を貫いた事が今作の期待以上の充実に繋がった。全く大したディレクション能力だ。これで彼もレコード会社の「名物ディレクター」として宇多田ファン以外にも名前が知れ渡ったらいいのに。いや御本人は「自分は裏方だから」と謙遜されるような気がしますがね。