無意識日記々

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WinterClassicsアルバムにFYIのカバー

へぇ、FYIがカバーされたのか。珍しいな。クレジットはまだ見てないのだけれど、アルバムのタイトルは「Winter Classics」という事で、Japanese Popsのウィンター・スタンダード・コレクション、則ち冬歌特集といったところか。

坂本龍一の「メリー・クリスマス・ミスター・ローレンス」を歌詞つきでカバーするなら他のバージョンもあっただろうにわざわざUtadaのバージョンを選んでくれたのは嬉しい限り。歴史と思い入れの深い作品だから、6年前というのは最近に分類されるところ。その分制作者にとってはまだ印象が新鮮なままだったという事か。

トラックを一聴してみると、寧ろ、Hikaruのオリジナルより元曲のニュアンスを活かせているようにも思う。冬歌特集というコンセプトも念頭にあったのか、より冬らしい音色とサウンドが援用されている。FYIにあったエキゾティシズムを醸すあのフレーズやあのフレーズは削られていて、多分日本人のアレンジなんだろうなと思わせる。

ここらへんの捻れが面白い。そもそもの元曲のインストは日本人作曲で、それをUtadaを経由して英語詞で日本人なりの解釈をしてカバーをする。先祖がえりというべきか隔世遺伝というべきか。こうして聴き較べてみると、Stargateの捉え方が「日本人の女の子がやってきた。リュウイチ・サカモトも日本人だ。今こそミスター・ローレンスを使うべき時だ。」といった感じだった事が今更ながらに確認される。なのに英語詞というのがUtadaの特異性だが、今回のカバーはそういった「日本らしさへのこだわり」が最早跡形無い。勿論Stargateは匙加減を心得ていて、エキゾティシズムといっても幾つかのフレーズとサウンドを差し挟む程度におさえている。ここらへん、Stargate主導での立ち上がりだったという話を思い出してHikaruとのパワーバランスがどうだったのかを妄想したくなってくるな。

そういえばと思い出したが、この曲はタイトルが決まるまでに幾つかの過程があったのだったな。どの部分が誰の証言だか忘れてしまったが、Hikaru側がタイトルを「FYI」にしたいと申し出て、坂本龍一サイドは「いやこの曲はミスターローレンスだから」と譲らなかった為最終的に「Merry Christmass Mr. Lawrence -FYI」、則ち「ちなみにクリスマスおめでとうローレンスさん」という一風変わったタイトルになった、という話。その経緯を考えると、このカバーでFYIの3文字が削られている(?)風なのは坂本龍一サイドの希望だったのかな、とも考えられる。なお、サイドと書いているように、こういった取り決めは坂本龍一本人ではなく誰か代理の人が判断を行っている可能性もある。勿論本人の可能性もある。なので、誰と誰がという話にもっていかない方が賢明だ。

それにしても、もう冬歌特集か。日付的には違和感ないが、今年は個人的にはまだ本格的な寒気に襲われていない為ピンと来ていない。こういう歌を耳にする事であらためて冬の訪れへの心の準備が整うのかもしれないね。