無意識日記々

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デジタルブックレットを一部くれ、と?

昨年、一連の『Fantome』からの楽曲が発表される度にオフィシャルでそれぞれの歌詞にアクセス出来るようになっていたのは画期的だった。英断だったな。自前とはいえ著作物を利用した以上、使用料を払ってくれている可能性がある。我々がタダでアクセスできる代わりにプロモーションの一環として自腹を切ってくれていたのかもしれない。

でもどうせなら、前も書いた事だけど、配信シングルにデジタルブックレットをつける訳にはいかないの?という疑問とお願いが立つ。少々割高になってもいい、というかデジタルブックレットありとなしの二種類リリースしてくれりゃいいだけな気がするんだが、消費者のニーズよりチャートアクションの方が重要なのだろうか。そんな訳ないな。何らかの理由があるのだろう。

iTunes Storeで買い物をしていると、一口にデジタルブックレットと言ってもピンからキリまである事に気づかされる。中には、実際にCDを買ってフィジカルのブックレットを眺めるよりずっと美麗なものもある。12cmサイズよりパソコンの画面の方がデカいのだからやる気になればそりゃあそうなるわな。一方で、そのフィジカルブックレットを見開きにしてスキャンした画像をpdfファイルにまとめただけでデジタルブックレットを名乗る不届きものもいる。そりゃあないよりマシだけどさ、あんたらブックレットの元データ持ってるんじゃないの!?と言いたくなってくる。

いずれにせよ、作詞作曲編曲演奏のクレジットやレコーディングデイト&プレイスがわかるのは有り難い。シングル配信でもそうやってデジタルブックレットをつけてくれりゃあ何かと便利だ。コストがかかるなら値上げすればいい…と気軽に言えないのがAppleにプラットフォームを独占されている弱みでもあるが。きっと勝手に値段決められないんだよね。

価格の硬直性といえばそりゃあ音楽ソフトは書籍を上回る厳格さだ。書籍は再販制度に守られて値引き等は出来ない仕組みになっているとはいえ、薄い本(いや同人誌の事じゃないですからね(笑))はお安く、分厚い本はお高くなっている。曲の配信も3分の曲は150円、7分の曲なら250円、という風にすればいいのに、しない。せいぜい、ミニアルバム、フルアルバム、2枚組、という程度の区別があるだけだ。これは配信プラットフォーム云々を言うずっと以前からそうだ。

話が逸れた。あたしゃシングル配信でもデジタルブックレットが欲しいと思っただけだ。昨年のようにしてくれてもよいが、変な話、金払った方が手に入れた歌詞の価値をより感じられるような気がするのだ。

とはいえ、作詞家からすれば、歌われてなんぼの歌詞という作品を字に書いて表示したものって一体何なのという気分も出てくるかもしれない。映画の脚本だけを書籍として販売したら似たような感覚になるかもね。何か違う、と。

しかし、リスナーからすれば、当たり前の話だが、目で見る事で見えてくるものもあるのだ。字の間隔を揃えれば美しい音韻が手にとるようにわかる。全部を一度に見渡す事で、ああこの歌の歌詞には一度もカタカナ外来語が出てこないんだな、とかもすぐわかる。歌詞を視覚化するのは有用なのだ。

こんな話アナログレコード世代やCD世代にとっては当たり前の事でしかない。しかし、「CDを買わなくなった」という人が少なからず居る以上、こういった"昔の常識"も忘れ去られている可能性がある。そういや最近、歌なんかYouTubeで聴く位で、歌詞をじっくり読むとかしてなかったな、と。もっとも、歌詞検索サイトは充実しているので昔に較べて遥かに歌詞をチェックする機会が増えた人もまた多いだろうかな。

いずれにせよ、パソコンやタブレットスマートフォンで配信音源にアクセスする人にとってデジタルブックレットは便利でしかない。SONYの中の人の皆々様に於かれましては、是非導入を御一考うただきたい所存です。