無意識日記々

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上からで失礼します林檎さん

ヒカルとデュエットしたことで自然と椎名林檎嬢の記事やらツイートやらが目に入るようになっている。なんだかまぁ大変な人だ。

総合するとこの人は我々の世代でいう「産業ロック」を作っているんだなと。予めマーケティングしてリスナーのニーズに合った音楽を作るというPopsの手法を用いながら演じるのはロックという。椎名林檎のイメージは最早肥大化しきっているのだが本人は演じ続けるのに吝かでなく毎日精進を怠らない、という一応蜜月の関係だ。浜崎あゆみやら西野カナのような正直にマーケティング・ポップスだという顔をしていないので色々と言い訳は面倒なのだが本質的には同じである。

前に新譜が出ていたので聴いてみたが、まぁホントに大変だった。権威を守るというのはここまで手間が掛かるものなのか。普段余り聴かないタイプの音楽なので論評する気は無いのだが、この路線で縮小再生産でないというのは賞賛に値する。拡大する意志が強い。物議すら制御するおつもりなのかと。そういう意味では偉大なミュージシャンというか、古風な道化師なのでしょうか。

ゆみちんがヒカルたんを姉のように慕うのも無理からぬ。カウンターカルチャー発の椎名林檎が本流を喪う不安を根こそぎ焼き払うのがヒカルなのだから身を挺して奉ろう敬おう見守ろうとするのは当然だと何度か書いてきた。林檎嬢は"姉"が年下で心底安心しているに違いない。自分が先に死ねるから。

だが椎名林檎には安心して欲しい。我々の世代の産業ロックといえばTOTOやJOURNEYやBOSTONだが、そのサウンドをそのまま受け継いだミュージシャンたちは21世紀の現在本当に楽しそうに音楽を作っている。主に、そのJOURNEYのアルバムから名を頂戴した「Frontiers Records」から毎月リリースされる音楽達の事を言っているのだが、当世その音楽性が思いっきりアウト・オブ・デイトであるからこそ誇りを持って取り組んでいるように見える。今月リリースされたWORK OF ARTも素晴らしかったですよ、えぇ。

何を言いたいかというと、林檎さん、貴方が汗水垂らして作り上げたサウンドは必ずや次世代の音楽家たちが模倣して受け継いでくれるだろうからそれを希望に生きていっても大丈夫ですよと。一方ヒカルの音楽は一世一代であって後継者は現れまい。真似をする人は出てはくるだろうが発展的ではないだろう。後世への影響力ではヒカルは林檎にとても敵わない。しかしその林檎の精神的支柱のひとつがヒカルであり、ヒカルの方も当然音楽職人であるゆみちんを敬愛している。何だろう、頑張っていればいつか結実するものなのだ。ヒカルは毎回結実だけどね。