無意識日記々

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井上陽水による宇多田ヒカル評

昨年末12月27日のNHK井上陽水特番でのヒカルのコメント出演も振り返っておこう。

まずは、(恐らく初めて)井上陽水に会った時の第一印象について語ってくれています。

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ライブの楽屋で

私の父と陽水さんが一緒の空間にいたっていう時に

なんか あれ?ちょっと見た感じ似て…似てるかもって思って(笑)

醸し出すパワーが威圧感ってとられちゃうことがあって

怖がられちゃうこともあるんだけど

本当はすごく柔和な気さくな

こう ジョークをよく言うような人っていうのも

なんか他人に思えないというか

親戚のおじさんだよって言われて出会ってたら

あ そうなんだって思ってたんじゃないかな

っていうふうに感じてました その時

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まさに「その発想はなかったわ」ってヤツでした。いやはやまさか井上陽水宇多田照實を重ね合わせるとは…盲点だった。いや気づいてなかったの私だけ? 「長身×サングラス」の…そういや同い年だよこの2人。お互い1948年生まれ。うちの母と同じ年だわ(それは今は全く関係ない)。なるほど似てるとこある。

そっかー、確かになー。あの年代で180cm前後の身長って目立つんだよね。うちの父がそうだから(それも関係ないだろ)。年寄りの癖にデカい。そしてグラサン。ちょっと近寄り難いよね。

とはいえ陽水も、出たての頃は兎も角、テレビでタモリと絡んだりなんかする時に剽軽な一面を殊更前面に出してたりして結構柔らかいイメージもあるんだが、そういやヒカルは知らないのかそういうの。初期の歌だけ聴いてたら彼のセンス・オブ・ユーモア的な側面は気づけないかもね。

だけど照實さんで慣れてたから「見た目強面だけど面白い人」というのにすぐに馴染めたと。そらゃヒカルもリラックスして接するわけですよ。

かたや陽水の方は結構緊張してたんだろうね。この落差(笑)。

で。番組では「宇多田ヒカル井上陽水を語る」のと共に、「井上陽水宇多田ヒカルを語る」パートもあった訳で。彼の台詞の方も文字起こししておこう。

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随分前になりますけど 僕のライブに彼女が突然来て

「Automatic」を歌った記憶があるんですけどね

あ「Automatic」分かる分かる

まぁ ステージに出ればなんとなく歌えるんじゃない?

って思って出たら

もう全然歌えなかった 失礼しました(笑)

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まずこれである。つまり何が言いたかったかというと、「ヒカルさんが『Automatic』を事も無げに歌っているので簡単な歌なんだろうと思ったら無茶苦茶難しかった」即ち「難しい歌も軽々歌える天才なんです彼女は」という話を婉曲的にしてくれてる訳だな。ちゃんと笑えるエピソードとして纏めてくれているあたり彼のサービス精神旺盛なところが垣間見える。

更にヒカルの『少年時代』についての評はこうだ。

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もううちの娘なんか涙が出たとか言ってね

やっぱりね

歌う人が違うと泣くのかうちの娘は と思いました(笑)

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これも皮肉っぽい笑い話として纏めてくれているのは流石だが、普通こんなこと言えないよね。シンガーソングライターが自分の作った曲を歌ったパフォーマンスより優れていると真正面から認めるだなんて、プライドが邪魔して難しいと思うんだが井上陽水はキッチリ白旗を上げて降参してくれている。潔い。それだけヒカルのことを素直に尊敬しているのだろう。34歳も年下、まさに娘の年代の女性に対してこういう態度に出られるってのは、やっぱ偉大だなぁとこのコメントに接して改めて思ったですよ。

番組が始まる前は「宇多田ヒカル井上陽水を語る」方ばかり予想していたので、こうやって「井上陽水宇多田ヒカルを語る」のを聴けたのは予想外の僥倖であった。スタジオ収録の方法はわからないが、ヒカルもオンエアで初めて「井上陽水による宇多田ヒカル評」に接したのかもしれない。だとするとこれまた少し気恥ずかしいかもしれないね。いや、オンエア観てない可能性もあるか…出演者に完成品のファイル送ったりしないのかなNHKは。昔DVD焼いてくれたこともあったねぇ懐かしい。それはさておき。

という感じで次回以降、他のコメントについても触れていきますよっと。