無意識日記々

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そんなピアノの捉え方もありさ

今日発売になった新譜、前回触れた宮本浩次のカバーアルバムも素晴らしいけれど、瀧川ありさのニューEP「prism.」もなかなかによかった。先行曲の「メリーゴーランド」を聴いて「本当にこの子は安定して良曲を書くなぁ」と感心していたのだが、やっぱりEP全体を聴いてみても安定していた。自分は特に三曲目の「嫌いだ」が好きだ。(…今日はこれが言えたらそれでいいや(笑))

…あら、両方ともピアノが前面に押し出された曲ね。なんだろう、日本語Popsで煌びやかなピアノが鏤められた曲調って私結構好きなのかもしれん。例えば水樹奈々でいちばん好きな曲といえば「エゴアイディール」だったりするしな。

ピアノって鍵盤楽器だから、叩いて音を出すのよね。だから、ヴァイオリンみたいな弦楽器やトランペットみたいな管楽器のように、少しずつ空気を震わせながら音が立ち上がっていってさざ波が調和して揺れが大きくなっていくような連続的なイメージとは対照的に、いきなり空気を切り裂いて断続的に音の粒が穿たれていくような、そういう断続的なイメージをピアノには持っている。デルタ波だって立派な波ですけどね。

そういう風に空間を切り刻みながら奏でられていくメロディというのは音の粒ひとつひとつが切なさを伴っているようで何とも言えない気分になる。「切ると切ない」って同じ漢字で表せる訳だけど、これって本当に同じ感じで現れている気がする。

ヒカルの名言の中でもとりわけ大好きなのが(もう何度も言ってるので呆れられてるかもしれませんが今後も飽きずに何度も言いますよ〜これな→)「スネアの切なさ」で、リズムループの輪郭をなぞっていくうちにエモーショナルなメロディが立ち現れていく様を表している。打楽器から切なさを感じ取るって凄い、と思ってたけれど、ピアノみたいな静寂の切り裂き方から連想するとそれがもしかしたら少し近いのかなとも思ったり。ヒカルも、リズムループからだけでなく、鍵盤を弾きながらでも曲を作る訳でね。「Ivory II」なんていうピアノのサンプル音源を昔購入していたな。やっぱりシンセキーボードでもピアノの音色が鍵なんだろうな、鍵盤楽器なだけに。(今夜はこれが言えたから以下略)

そんな「ピアノの切なさ」が極まった曲が……やっぱり『WINGS』なんだよねぇぇぇ。あの曲のピアノの流れ出した瞬間の狂おしさは一体何なんだろうな。この曲をライブで歌われたらヤバいと色んな曲について言っているけれど(『嵐の女神』とか『桜流し』とかね)、もしかしてナマで聴いていちばん即座に涙腺に来てしまうのは『WINGS』なんじゃないかと思うくらい。いや、このピアノから入られたらマジでヤバいぜ……。

残念ながら毎年新しい名曲をシングルとしてリリースしている宇多田ヒカルが通常のライブコンサートで「シングル盤のカップリング」に過ぎない曲をわざわざ選んで歌う確率は低いのだが、あと30年くらいライブに通えれば一度くらいは聴けるかもしれない、という期待を胸に、こほん、今日を生き明日を生きる事にしますかね。嗚呼、想像してみるだけで潤々してきたよ…。