無意識日記々

mirroring of http://blog.goo.ne.jp/unconsciousnessdiary

アイデア・ジャンキーの独り言

結局自分が何に飢えてるのかなと思ったらそれはアイデアなんだなと。知恵とか発想とか着想とか。楽想とかプロットとかネタとか。そんな風に呼ばれているもの総て。兎に角イデアルな価値を求めて毎日生きてる気がする。

ヒカルの曲は毎回アイデア満載で大変嬉しい。美味しい。有難い。特に最新曲である『誰にも言わない』はアイデア、発想の塊である。

音楽の場合、まずシンプルに動機(motif)となる主題(theme)自体が新しいアイデアだ。これが美しい。毎度あたしがTwitterハッシュタグ「#i_uta」や「#e_uta」をつけてツイートしているようなフックのあるメロディで楽曲が埋め尽くされている。

『誰にも言わない』でこの主題にあたるメロディは5つある。どれが主でどれが従ということはなく、5つのパートが等価に思える。それはある程度主観的な感覚の話なのだが、どのメロディも強度に差がないと感じているのだ。故にこの曲にピンと来ない人はひたすら淡々と流れていくだけのように捉えるだろうと推測する。いい意味でも悪い意味でも起伏がない。

どのパートも等価だからといって展開に乏しい訳では無い。寧ろ同じ主題に違う役割を持たせていたりして非常に凝っている。前に紹介した『明日から逃げるより~』のパートなんかがそれだ。その地点までここのメロディは前段のメロディを“受けて立つ”役割だったが、ここから(小節を空けながら)次のメロディに流れを授ける役割に変化する。これもまたアイデアだ。心憎い。

音楽のアイデアは斯様に、メロディそのものだったり、構成だったり展開だったり使い方の変化だったり様々な様態で現れる。故に一聴しただけでは把握しづらい事も多い。よく「聴き込む」ことの大事さが叫ばれるが、全体の構成を捉えてそこで初めて気づくアイデアもあるのだ。同じ曲を何度も聴き返すとそういったそれまで気づかなかったポイントにも気がつける。先週触れた『Time』のパンするコーラスとかそういった小技を聴き落としてるような例も含めて、ね。

新しい楽曲には新しい発想、新しいアイデアを期待する。そういう意味では、別に同じ主題、同じメロディを使い回すのもアリなのだ。使い方が新しければそれはまた新たなアイデアなのだから。ヒカルも『Hotel Lobby』のメロディを『Kiss & Cry』に援用したりした過去があるが、あれもメロディの活かし方が別物だった。新しいアイデアの為に過去のアイデアを復活させるのは、長年のファンからすれば嬉しい、喜ばしい事だとも言える。

今日もあたしは新しいアイデアを探して曲を聴き本を読む。知る事への渇望は死ぬ迄収まりそうにない。