無意識日記々

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喪失の予感2022

『BADモード』は周囲の人の不調や病気(クリスマスに犬に噛まれた人も含めて!)に対して自分が何が出来るんだろう?と、まさに歌詞にある通り自問自答をする曲だった。また、『Time』も、その仮タイトルが『Temozolomide(テモゾロミド)』という、親友に処方されていた治療薬の名前であった事からもわかるとおり、周りの人の病変を気遣った曲だった。

それらの気遣いと思い遣りがアルバム全体の雰囲気をかなり決定づけているように思えるが、アルバム完成後のヒカルの数々の発言により、他ならぬヒカル自身が心身の不調に悩まされていたという事がわかったのだからあんた人のこと言うのも立派やけどまず自分自身のことをやな……と、いう風にヒカルも思ったのだろう、だから『PINK BLOOD』や『キレイな人』のような力強い歌詞の歌が生まれた、ということになるかもしれない。

その点を踏まえると、全体的に「失う」こと、“喪失”が今回の歌詞で重きを置かれているのは、最初はまだまだお母さんのことがあるから(そしてそれはこれからも続いていくだろう)それを引き続きテーマにしているのだろうと思っていたのだが、実はヒカルがずっと「声を失うことの恐怖」「心と体が繋がらないことへの不安」を抱えて創作に打ち込んできた事がかなり大きな影響を与えていたのかもしれない、という点にも目を向けなくてはいけなくなった。

『Lose, don't have nothing to』

『友よ 失ってから気づくのはやめよう』

『止められない喪失の予感』

『心の中を埋める何か失うことを怖れないわ』

『失くしたものはもう心の一部でしょ』

これらの歌詞が、もしヒカルの声や心と身体の繋がりのことだったとしたら、かなり受け止め方が変わってくる。シングル曲だった一曲々々がアルバムで通して聴くことで生まれ変わって聞こえたように、それらの歌詞の面でも、アルバムとなった事で新しい読み替え方が必要になっていくのかもしれないですね。