無意識日記々

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詠嘆だけでない率直な感想だろうと

ひとつ、前提条件として確認しておきたく。

昔はオフィシャルサイトに『Mail To Hikki』というコーナーがあり、オフィシャル側から積極的にファンメールを送るよう促していた。それは東芝EMI時代の話だが、UTADAになってからも、結局試験運用に留まったが、BBS形式でUTADAへのメッセージを募るなど、こちらも積極的にファンからの声をヒカルに届ける策を講じていた。

現在はそういったシステムがない。郵便によるファンレターは送れるが、これを利用する人はそうそう居ないのではないかな。宛先も調べれば出てくるが、最近ファンになったなんていう人は存在自体認識していないだろう。

これはつまり、復帰後のヒカルがファンやリスナーからのリアクションを知ろうとした時に手にできるのは、TwitterとかInstagramとかの、あんまり我々と変わらない情報だけだということだ。時折ヒカルがエゴサーチしているのを驚く人が居るけれど、昔はMail To Hikkiで曲やライブの感想を知れていたのに今はそのチャンネルが無いのだから、そうやって補完するのは必定だったりする。

勿論、全盛時は一日700通というアタマのおかしい数に総て目を通していた(時間的に無理と言われるかもしれないが速読術が(独学でも)あれば可能だろう)ヒカルなので、僅かな情報から全体を推定する能力は我々より遥かに高いだろうから同じ条件と言ってもそれは違うのだけれど、少なくとも最初の12年と今では現状認識の仕方に違いはあるとは言えるのだ。

それを踏まえると、ヒカルが今回「アジア系のファンからこんなに応援して貰えてるとは思っていなかった」というのも、リップサービスではなく、また単なる詠嘆でもなく、率直な感想だったのだろうと思われる。なので、これを契機にアジア系のファン層や地域に対してアプローチを変えてくるというのはなくはないんじゃないかなと。

特に大きいのは、共演者達からの反応だ。Instagram等に次々と「コーチェラで宇多田ヒカルと一緒に写真撮ったよ!」報告が今をときめくアーティストの皆さんから上がっているようだけれど、同業者からのリスペクトを直接肌で感じたというのは、今後の創作活動に何らかの影響があるかもわからない。

例えば、アジア3ヶ国から参加した『Too Proud』のL1 REMIXなどは、あれが単発で終わった感じからしてヒカルではなく周りから提案されたアイデアだった印象が私にはあるのだが、こういうのが継続していく可能性が出てくる。『Laughter in the Dark Tour 2018』の時に「あるんじゃないか?」と訝ったアジアツアーなんかもまた現実味を帯びてくる。共演の幅が、今回グッと拡がったからね。

とか思うんだけど、そういうのも結局国際情勢次第なのよね。コロナ禍の余波余韻もそうだけど、まず香港台湾が無事平和で居て貰わないとな。何しろ2022年はこちらが勝手に思っていた「いつか現地で『Kremlin Dusk』を歌う」という夢?が儚く消え去った年だから。いや、消えてもまた復活するのが歴史というものだけど、終始平和ならそんな心配する必要はないのでね。人種とか地域とかがテーマになってくると必然的にそういう話になってくるので、そうね、そういうニュースに日々接していこうと思っても、そこは気が重いわねぇ。なんとかならんもんかなぁ。