無意識日記々

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バカラック翁逝去

バート・バカラックが亡くなったそうな。享年94で自然死という報道。大往生だったのだろうかな。謹んで哀悼の意を捧げたい。

バカラックといえばCubic Uのデビュー曲『Close To You』の共作者だ。カーペンターズをはじめとして数多くカバーされてきたスタンダード・ナンバー。今年はCubic Uもデビュー25周年で、そういえばヒカルがデビューした後このCubic Uのバージョンが話題になった時点でバカラックさんは既におじぃちゃんだったなぁと。そりゃ当時もう70歳前後だもんね。

彼作曲の有名曲といえば“Raindrops Keep Fallin' on My Head”(「雨にぬれても」)などをはじめとて幾つもある訳だが、その中でも(かどうかは知らないが)カーペンターズのバージョンで有名になったこの『Close To You』をデビュー曲に選んだのは、偏にCubic Uの圧倒的な歌唱力を示すためだったのだろうと思われる。スタンダードであればあるほど違いがわかりやすいからね。極論すれば「あたしカレン・カーペンターより上手いからね?」と言いたかったのだろう。自分ものこのテイクを聴いて「とんでもねぇ歌唱力だな」と舌を巻いた覚えがある。

もしCubic UがNY等で活動を続けアメリカのメジャーレコード会社に拾われていたら、というifはよく語られるところだが…って書こうとしたけど無意識日記では一度も書いたことがなかったな! 「Cubic Uネタはいつかネタ切れしたときのためにとっとこう」と思ってこの日記を始めたので敢えて言及するのは避けてきているんだけど、結局人間活動期でも手をつけることはなかったんだよねぇ。あの5年半何書いてたの自分? (見返してみる)…なんかいっぱい書いてあったわ…(汗)。

…っとと、話が逸れたな。もし英語のまま活動を続けてたら、それでブレイクしたあとにローカル言語である日本語で作詞をする動機はなかったろうから、日本語圏民としては「これでよかったんだな」と思える所だが、当時から洋楽寄りのファンが「とっとと世界史上に売って出て欲しい」と言っていた訳で、そういう意味ではチャンスを逃したともいえる。裏腹やね。

先月来日したリナ・サワヤマが「昨日誕生日だった人の歌を」ということで『First Love』をカバーして称賛されていたが(1/20のライブってことね)、もしかしたらその「Cubic Uがそのままメジャーに拾われていたら」のifを最も近く体現しているのは彼女なのかもしれないな。セカンドアルバムは全英3位を記録していたし、日本生まれということもあって作品の中にジャパニーズ・テイストも鏤められていたし、「実現しなかった未来」を妄想しみるのも楽しい。

四半世紀経ってこういう後輩が生まれていく一方で、デビューを彩ってくれた偉大な先達の作曲家が亡くなっていく。なんとなく今年の節目感が増した朝でありましたとさ。