無意識日記々

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珍しい客層

劇場版実写映画「キングダム」シリーズを実際に映画館で観るレイヤーがどの辺りなのかによっても、主題歌のアプローチは変わるかもしれない。例えばシンエヴァのEDテーマなら公開日に観に来た人達はどれだけ作品に寄り添っているかを厳しく判定しただろう。それに対して完璧以上の『One Last Kiss』のみならず『Beautiful World (Da Capo Versiom)』まで畳み掛けてきたのは流石であった。過剰戦力とすらいえた。

「キングダム」劇場版を観に来る層はどんなものであろうか。原作ファンは勿論のこと、アニメ版視聴者、それに、前2作で注目している映画ファンなどかなり多様となっていそうだ。

そしてやはり興行収入を支えるのは「取り敢えずお出掛け先に映画館を選んだ人達」だ。デートコースや家族サービスのひとつってことだね。そこにアピールする為には山崎賢人吉沢亮といった役者陣の知名度、更には主題歌担当の宇多田ヒカル知名度が利いてくるだろう。ワンオクミスチルと来てるだけに余計にね。

となると、作品に寄り添うだけではなく、シンプルに「宇多田ヒカルの歌も聴けるんなら」と映画を選んだ人達にも納得して貰えるものを提供出来た方がいい。つまり、「ライトリスナーが求める宇多田ヒカルらしさ」もまた重要な要素のひとつとなるだろう。

劇場版「キングダム」シリーズをどの層が観に来てるのかはわからないが、50億円規模となるとかなり平準化されている気がする。何の気なしに言う「普通の客層」である。全く映画のテイストは異なるが、例えば昔「踊る大捜査線」を映画館に観に行った人達、みたいな感じになっていそうだ。

ヒカルは、案外そういう人達を相手にしたことがない。もし劇場版「HERO」の主題歌を担当すれば近い事態になっていたかもしれないがそれは叶わなかった。(そういえば観てないけどあれって主題歌ってあったの?)

そういう意味ではこれは結構なチャレンジではある。余り相手にしたことがない層に対するアピールがどこまで通じるか。ひとまず、宇多田ヒカルといえば「歌が上手い」というのが定評なのだが、そこはもう今回の予告編のイントロのハミングで既に期待に応えてる感もある。そして恐らく、歌全編に渡っても歌唱力を押し出してくる可能性が高い。

そしてもうひとつ、「英語が上手い」というのもアピール・ポイントのひとつだろうかな。こちらがフィーチャーされているかどうかは結構わからない。タイトルにもGoldという英単語は使われているが、ほぼ定着した外来語で日本語といって差し支えないし、ヒカルも「タイトルは英語だけど歌詞は全部日本語」という歌も発表しているからね。

一方で、「『BADモード』は初のバイリンガル・アルバム」という宣言もあり、宇多田ヒカル名義で英語の歌を披露するのにもう何の躊躇いもない。そこらへんの自分自身の流れも考慮に入れられるはずだ。

これらの要素によっても『Gold ~また逢う日まで~』の作風と方向性は左右されていると考えられる。そのような視点で聴いてみるのもまた一興かもしれない。