新しいアーティスト写真とジャケット写真、何度見返しても形容しがたい感覚に襲われる。適切な言葉が見つからない。小川恭平氏&TOMO KOIZUMI氏による真っ白もこもこな1枚は、まるで雲を纏う神様のようでもあるし、人いきれに纏わり付かれて絡め取られている誰かにも見える。今utadahikaru.jpのトップを飾っている添い寝写真の方も、涅槃図のような神々しさがあるようにもみえるし、「誘惑する少年」のようにも見える。何れにせよ決め手は無いが、だからこそ目が離せない。
涅槃図を例に出したが、本来は入滅時の姿勢ということらしいのでちと縁起はよくない。だが論点はそこではなく、冷静と情熱の振り幅のどこかからの眼差しが、見る方に判断を委ねさせる神性を帯びている点をこそ強調したいのだ。菩薩にも悪魔にも見えるわな。
「誘惑する少年」というのも含みがある。少年の振りをして近づいてきた少女、という勝手な事前設定がそこにはあるからね。相も変わらず妄想が逞しいが、そうやって種々の物語を付与しないとこれらのアートワークの魅力を捉えきれない気がしてな。神性と世俗性、男性性と女性性、どちらもありそうで、どちらでもないような。確かに宇多田ヒカルが取り組むに相応しいテーマだろう。
ただ、これらのイメージが果たして楽曲に結び付くかというとわからない。実際、最近のシングル曲ジャケット─『PINK BLOOD』とか『君に夢中』のアートワークが「如何にも楽曲に相応しい1枚だ!」と思えたかというと、どうだったかなぁ。『PINK BLOOD』なんかはミュージック・ビデオを通して漸くだった気もする。
なので今回も、これらの最新写真は単独で楽しんでおいていいかなと思われる。『Gold ~また逢う日まで~』のミュージック・ビデオとの関連はあるかもしれないが、その場合は「キングダム 運命の炎」との歌詞の繋がりを敢えて避けてくるテーマを選んでいる気がするので、今事前情報で読み取る事は難しい。ただ、ヒカルの添い寝姿の静けさが『側で待ってるだけ』の『幸せ』である可能性はあるわな。『飾りにも誰のものにもならない』という歌詞と、捉えどころの無い白もこもことの親和性も高そうだ。まぁ、ワンコーラスでそうそう予測がつくものでもないか。
ベリーショートで少年な風貌で添い寝してくれてる人が母性全開な歌詞を歌ってくれるとすれば、これは子守歌なのだろうか。『Beautiful World』の『君の側で眠らせて』や、『Stay Gold』の『あなたの瞳の奥に潜む少年』なんかも連想する。こうやってあーでもないこーでもないと思いを巡らさせられている時点で、制作陣からすれば「してやったり」なのだろうから、そこのところはちょっと悔しい。(笑)
土曜朝にワンコーラス解禁で、火曜深夜~水曜日に新しいアー写というこの時間間隔、順調にプロモーションが進んでいると感じられる。ここからの沖田さんと梶さんの時間の使い方の上手さは今まで散々見せつけられてきているので、とくとその手腕を見せて貰おうかというモードなのでした。次の一手はなんじゃらほい?