無意識日記々

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無音と建築

ヒカルがインタビューで

『建築も音楽も空間作りで、無を構築することじゃないですか。』

https://spice.eplus.jp/articles/320799

と言ったときに、直接その意味を正確に受け取れてた訳ではないにせよ真っ先に頭に思い浮かんだのが『Laughter in the Dark Tour 2018』での『初恋』だった。あの、『知らない』と『風』の間の数秒間の静寂は、2時間20曲に及ぶ一夜の最たるハイライトとなっていた。あれだけ様々な声と音を繰り出しておきながらその最高潮に「無音」を置くというのは、如何にもなるほどそれがヒカルの音楽の捉え方だったということか。

これまた上記のヒカルの発言の意図とは多少離れるが、音楽とそれを奏でる場所である建築物との関連もまた考えるべき要素の一つだ。石造りの教会で歌われる聖歌はその建築に由来する残響あってのものなので木造建築を主とする日本とは趣が異なる─みたいな話が流れていたけれど、なるほど音楽の成り立ちからして建築と空間は影響を与えるものなのかなと。

上述の『初恋』がもたらした静寂の数秒も、例えばライブハウスや野外フェスといった別のシチュエーションだったらうまく機能しなかったかもしれない。ホールやアリーナだから成立したというか。確かに、昼間のマリンスタジアムであれやられてサマになるかというとわからないわね。照明を落とした閉じた空間だからこそだったと。だとしても一万人といった規模を相手にあの長さの静寂を成立させたヒカルの歌の説得力は図抜けているけれども。

そういったことを考えると、今後なんらかのスペシャル・コンサートを催す時にはそういった「歌う場所」についても考えた方がいいのかもしれないわね。どんな場所が候補になるかな? 有観客か無観客かでも変わるだろうが、何より、その時歌いたい歌にいちばん左右されるだろうか。それこそ友人の結婚式の為に“アメージング・グレイス”を歌った時はどんな場所でだったのかな。それこそ教会とか美術館とかもいいわね。え、喫茶ライオン? ちょっと狭いかな~。ともあれ25周年イヤーに向けて、いろんな検討が重ねられていくことを期待したい。