無意識日記々

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25年の集大成? それとも新譜新曲中心?

「25周年記念ライブを希求する」ということで色々と書いている訳だが、そう言う事で選曲上の懸念がひとつ増えるのがもどかしい。何がって、そのライブは「アルバム『BADモード』を引っ提げてのコンサート(・ツアー)」ではなくなってしまうのよさ。

実は、この手の問題点に関しては5年前の時にも散々考察した。宇多田ヒカル名義としては2010年の『WILD LIFE』以来8年振りとなったコンサートツアー『Laughter in the Dark Tour 2018』は、

・アルバム『Fantôme』と『初恋』をリリースしてから初めてのコンサート・ツアー

であると同時に

・ツアー最終日がデビューからちょうど20年の「宇多田ヒカルデビュー20周年記念」のコンサート・ツアー

でもあったのだ。こうなると選曲面でのコンセプトが難しくなる。新譜2枚から沢山やるか、20年間のベスト・ヒットにするか。数々の記録を持つ宇多田ヒカルの「ベスト・ヒット」はそれこそとんでもない楽曲だらけで、ファンでなくても一度は観てみたいと思うものになるだろう事は想像に難くなかった。

結局、この時5年前は「ヒカルが選曲を他人に任せる」というアクロバティックな選択をした為、ヒカル本人の「8年振り」とか「20周年」とかの感慨をかなり無視した「今物凄いアーティストである宇多田ヒカル」を前面に押し出す選曲と曲順となっていた。でなかったら、2001年の年間第1位曲『Can You Keep A Secret?』を他の曲に組み込んで終わらせたりしないよね。アンコールでシングルカットもタイアップもなかった『俺の彼女』とかやんないよね。私はそこまでに何度もヒカルのコンサートを観てきてたから楽しかったけど、ここを読むことのなさそうなライト・ファン/リスナーの中には「もっと往年のヒット曲が聴きたかった!」という人も居たかもしれない。

そんな5年前だったので、今度は揺り戻しというか反動というか、もっと「周年記念」を押し出したツアーになるのではないかと、現時点では推測したくなっている。ヒカルはこういうとこでアーティストシップという名の我を押し通したりはしない。徹底して「楽しんで貰えるもの」を提供しようとするだろう。その自分の特質を知っていたから前回は敢えてなりくんに任せたのかもしれないな。(小袋成彬さんでしたのよラフダクの選曲をしたのは)

ただ、20年と25年って、近いようで結構違う気がするのよね。なんというか、霊感てやつだが、徐々にだけど新しいファンが昔に拘らないというかそもそも昔の事をよく知らないパターンが増えてきてるんじゃないかなというのがね、ちょっとあって。というのも、昨年から今年初めにかけての『First Love』のリバイバル・ヒットの仕方ですよ。どうにも、昔を懐かしんだ層だけでなく、「音に聞く伝説の名曲とやらをこの度初めてフルコーラスで聴きました」みたいなケースが結構あったんじゃないかなと。

そうなってくると、『First Love』以外の昔の名曲もよく知らないとかになってくるのでは?? 25周年ともなるとそういう状況も考えられる…という時にもうひとつ踏まえておきたいのが「宇多田ヒカルのサブスク解禁タイミング」だ。それは2017年12月9日なのだ。つまり、『Laughter in the Dark Tour 2018』最終日のちょうど1年前なのである。

当時は気付いていなかったが、後から振り返ればこれはレーベルが「20周年記念コンサート」を想定して過去の名曲を新しいリスナーにも予習しておいて貰おうというタイミングでもあったのではないか。

ここから類推するに、来月以降25周年記念コンサートがどこかで開催されるというのなら、昔の音源に触れ直す機会をレーベルが作ってくるかもしれない。というか、『First Love』のリバイバル・ヒットは巧まずしてその布石となった筈だ。どんな手を使ってくるかはわからないが(いちばんシンプルなのは「初のベストアルバム」だろうけどねぇ)、だとするともう来月にはその手の発表があるかもしれない。

他方、もし「25周年記念」というのを重視せずに、今の宇多田ヒカルの凄味を伝えるコンサートを開きたいのであれば、例えばアルバム『BADモード』のツアー・デラックス・エディションをリリースするとか、或いは『Somewhere Near Marseilles ーマルセイユ辺りー』のアナログEPを今度こそリリースするとか(この日記でこのネタ何回書きましたっけ?)、『Gold ~また逢う日まで~』EPのフィジカル化とか、そういった手を使ってくるだろう。

長くなったが、何が言いたかったかといえば、「次のコンサートの選曲は次のリリースに左右される」という、考えてみるまでもなく当たり前の話だったりします。

…だけどね、こうやって心を整理して臨めるかどうかで大分違うからねコンサートってのは! 聴きたい曲を歌って欲しいというのは至極当然なのだけど、実際に何が聴けるかはまた別なのですよ。

まぁあたしゃもう何回も観てるから「今回は『Automatic』や『First Love』を歌わなかったとしても別にいいや」とかって平気で言えてしまうのだけど(嫌な奴ですねぇ)、宇多田ヒカルのライブってのは常に(そう、常に!)「会場での最大多数派は今夜が初めての人達」なので、ずぅぇったいに『Automatic』と『First Love』は歌いますので、そこは安心しておいて欲しい。まぁどんな選曲だろうがヒカルの生歌の素晴らしさで総て何とかなるので、こういうことを考えるのは暇潰し以外の何ものでもありませんわな!