無意識日記々

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Integrity & Consistency

ニュートリノが光子より速く到達したというニュースが話題になり、タイムマシンが実現可能かなんてところまで話が飛んでいる。各専門家は火消しに(呆れながら)躍起になっているが、今回の実験結果の云々にかかわらずタイムマシンは実現不可能である事を強調しておきたい。

もし仮にこの実験結果が真実であるというならば、最大でも相対性理論が書き換えられるだけである。それだけでも人類史上最大の事件だが、それでもタイムマシンは不可能だ。なぜなら、タイムマシンを禁止するのは相対性理論ではなく、それよりもっと上位の、或いは最も基底となる"論理的整合性"であるからだ。これを破るのは神でも無理である。

どういうことかというのを短く説明するのは難しいが、要はタイムパラドックスを回避したタイムマシンの描象を首尾一貫して描けた人間が誰ひとりとして居ないという事だ。神でもできない。例えばタイムマシンに関してその不在を手軽に証明する言説として"我々が未来から来た人に会った事がない"点が挙げられるが、これに留まらずタイムマシンは論理の排中率を激しく破る。そもそも、タイムマシンという概念を適切に定義した事例がひとつもないのである。それが何であるかもわからないのにそれが実際に実現したかどうか判定する事は出来ないのだ。

人類がみいだした最も美しい理論であるといわれる相対論より更にずっと上位の概念である"(論理的)整合性"は英語ではConsistencyと呼ばれる事が多い。が、これに対応する一語の日本語は思い当たらない。恐らく、この世界観自体が西洋の科学文化に由来するのではないかと思うのだが、実際はどうだか知らない。

このConsistencyと大体同じ意味の言葉で、より人間味に寄り添った概念がIntegrityである。Be My Lastブログで光が日本語でなんていうかわからなくしてしたアレである。誠実さや首尾一貫性が人の心に宿る様だが、その言葉を、宇多田史上最もモラルを破る破壊的な歌であるBe My Lastブログに出してきた事に意義がある。あれキプトラブログの方だっけ。まぁどっちでもいいや3部作だし。

Consistencyとは"(〜から)成る"とか"存在する"とかいった意味のある動詞Consistからの派生語Consistenceの形容詞形だ。この、存在自体を担保する概念は、実存的不安を常に抱える芸術家たちにとって実に切実な問題であるのだった。



前フリに時間をとりすぎたので続きはまた稿を改めまして。