無意識日記々

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聴き惚Letters

Wild Lifeでは前半にストリングスパートとしてCOLORSとLettersが配されている。全体の構成の中での静と動のバランス、そして年間何位というクラスの特大ヒット曲をどう組み込むかといった課題に対する返答としてのアプローチだろう。

元々、両曲とも初お披露目のヒカルの5ではオリジナルスタジオバージョンに準拠した演奏であった。

COLORSに関しては、更にその前、2003年1月19日の20代はイケイケ!でストリングスバージョンで歌っており、またウタユナでも弦との共演で見事な歌唱で魅了してくれたのでこちらは期待通りだったと言っていいか。

Lettersに関しては、ウタユナでは後ろの映像に気をとられて歌唱や演奏がなかなか話題にのぼらなかったが、比較的オーソドックスなアプローチだった。ヒカルがライブでの歌唱を楽しみにしている楽曲という事で、両A面ではあるものの、キャンシーやリスクといった大ヒット曲を押しのけての連続の登場である。なお、In The Fleshでは歌わなかった。

上記のような流れから導き出された今回のWild Lifeバージョン、これ自体は素晴らしいと思う。しかし、この、後半リズムが入ってきて演奏にどんどん熱を帯びてくる演出を施しているにもかかわらず後半部をストレッチする事もなく、かといってもっと勢いのある他の楽曲に繋げる事もなく演奏終了しMCに入ったのは些か拍子抜けだった。

前半なので爆発させるにはまだ早い、という判断もあったのだろう。また或いは、直前になって曲順が変更された、というのもあるかもしれない。ただ、恐らくそういった感想を私にもたせた一番の要因は、こちらの先入観であろう。

元々Lettersは、ライブで疾風のように盛り上がって駆け抜けていく印象が強かった。いつも聴く度にあんまりライブレポートで書く事がない、ただただその場で楽しい曲だった。それが今回、じっくりと聴かせるスタイルになった事でそのイメージとのギャップが生じた。物足りない、拍子抜けといった感想は、元を辿ればそういった所に行き着くだろう。

全体の構成とは、聴衆にとってはあとから振り返った時にみえてくるものだ。渦中に居る時にはその瞬間々々の流れに翻弄されるだけ。そう考えると、強いリズムで聴かせる本来のLettersを改変させて初披露する場合は、COLORSをゆったりと聴かせた後よりも寧ろ、オリジナルLettersに近い盛り上がり方をした直後なんかのポジションがよかったかもしれない、と思うのだった。それこそ、スタジオバージョンのCOLORSとかね。

でも、そう私が言えるのも、こうやってコンサートを丸ごと体験して時間が経って全体を俯瞰で見渡せるようになったからであって、その時に、その前に気がつくのは容易ではないだろう。

そもそも、「いやこの流れが最高だ」という意見も勿論あるわけで、あクマで今日の時点で今の私がそう感じているという事でしか、ないのですがね。