英訳詞を眺めながら歌を聴いていると本来の日本語の歌自体に思わぬ発見があったりする。
例えば『Prisoner Of Love』の1番Bメロの『満ち足りてるのに奪い合う』の部分の英訳は『We all have enough but steal from each other』だ。「なるほど~、ここでの"奪う"は"steal"なんだねぇ」と納得しながら聴き進めていくと歌の後半で『From that day when my heart was stolen away』という一節が出て来た。「あぁ、さっきの"steal"と対になってるな、うまいもんだ」と無意識に呟いて初めて気がついたのだ、『満ち足りてるのに奪い合う』と『心を奪われたあの日から』の二つのフレーズが対になっていることを!
こんなの、わかっていた人は当然気づいていた訳で、今更論うような論点でもない。のだが自分にとっては新しい発見だった。英訳詞になって初めて気づいたのよ。聴き慣れた歌であればあるほど歌詞に"新しい光の当て方"をするのは難しくなっていく。それを英訳詞はいとも簡単にやってくれたのだ。それを可能にしたのも、ヒカルが英語に訳した際も日本語での設えをそのまま持ち込んだからだ。作詞者としては当然の拘りだったのかもしれないが、やはりこういうところで筋を通しておくのは一味違う結果を齎す。お見それ致しましたm(_ _)m