無意識日記々

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あなたに幻惑されて

『あなた』の歌詞は明確に息子に宛てて書かれたと言っていたので、今その『あなた』が自分の事を『わたし』と呼んでいるのだな。綺麗に纏まっている気がする。

『あなた』は映画のエンディング・テーマとしての機能も大したもので、ワンコーラスだけ聴く分にはとてもそれが息子に向けて歌われた歌だとはわからなかった。この時は、ある意味珍しく事前にインタビュー&コメントで「種明かし」をしてくれた訳だ。つまり、他にも息子に向けたコンセプトで書かれた歌が『Fantome』や『初恋』に収録されていても不思議ではない。

例えば、『嫉妬されるべき人生』だって冒頭の『軽いお辞儀と自己紹介』さえ無視してしまえば我が子に生まれてきてくれてありがとう一生見守っていくよと宣言した歌にも捉えられる。いやお辞儀と自己紹介も出産と産声の比喩だと思えば…っていやそれは強引過ぎるけれども…。

まぁそんな事を言い始めたら大人の雰囲気で固めた『残り香』ですら「ワインという小道具を無視すれば…」とかどうとでも言えるようになってしまうのだが、作詞ってそれくらいに自由なのだ。もっと言えば、そういう“目眩し”をひとつ入れてしまえば聴き手を幻惑するのも容易なのである。

ヒカルちゃんはそんな意地悪な(?)ことはしないよと言われそうだが、こう見えても昔プロフィール欄に【特技:「まいっか」でごまかすこと/人を惑わすこと/左足の小指の独立運動】と書いていた結構Sっ気の強いテキトーな人なのだ。いや独立運動は今関係ないけれどな。ヒカルって、ちゃらんぽらんではないけれどちゃらっぽこではあるのだ。なお、「ちゃらっぽこ」とは「口から出まかせのうそ。またはそれを言う人。」のことだ。…あれ?初めて知ったかも?

という事でこと歌詞に関してはこちらも結構自由に大胆に解釈した方がいい。『One Last Kiss』もきっと、それとはわからないやり方で、様々な人への思いを重ねて綴ってくれている筈。今のうちに心と耳を自由にしておきましょう。