無意識日記々

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ではAI歌手は?

先週取り上げたChat-GPTの他にも、最近では各種AI絵生成アプリもまたよく取り上げられているわね。

ニュースの拡がり方が極端になってきてるっぽいので基本に立ち返ると、AIは別に絵を描けるようになった訳でなく、既存の絵師が描いた絵のデータを取り込んでコラージュするプログラムをプログラマーが書いただけだ。なので既存の絵師と技師の合作がAI絵な訳だけど、余りに取り扱うデータと計算量が膨大なので結果が個々の人間の想定から逸脱しているということだ。でも、それって普通に絵を描いてる人ですら体験することで。何ヶ月も何年も1枚の絵を描いてると当初の想定を超えてくるってのはね。漫画や小説ならもっとありがちなやつ。結局、創作面での貢献は、前から言ってる通りワープロの漢字変換機能と変わらない。漢字という人類が育ててきた遺産を思いもよらぬ組み合わせで提示して我々を吃驚させてくれる機能とね。

これから問題になるのは、そのAI絵が商用に載る段だ。ここからはもう簒奪と権益の無法地帯を迎える。音楽は似たようなプロセスを経て今サブスク形態まで来ているが、絵画も類似のシステムを採用できるかどうか。だがデータと計算量が莫大なのでそう簡単には実装できない。極めて難しい課題だな。

まーそもそも、htmlでハイパーリンクを実装した段階で経済的なシステムを想定し切れていなかったのが敗因で。各国似たり寄ったりだけど、特に日本の経済圏では21世紀IT技術を買い叩きまくった為本来実現する筈の経済発展が停滞したのは笑い事じゃないやね。そのせいで伸びた自殺率とか誰が責任を取るのやら。あ、あたしの世代ですかね…そうだよな…。

暗い話はそれとして(置けるような話題じゃないんだけどなー)、AIがあんな絵を描けるようになってきたのなら、AIヴォーカルもかなりのところまで進化してくることは想像に難くない。うちらの興味は当然というべきか、「宇多田ヒカルの人工音声は実現するか」に向かうだろう。それも、藤田咲初音ミクのときにしたような気の遠くなる物量の録音に挑んでヒカルを疲弊させることなしに、ね。

そもそも既に既存の人工音声、まぁボーカロイドだね(ヤマハの商標になるのかな?)、がもうかなり自然に歌えるようになっているので、後はヒカルの少ない音声データから如何に特徴を抽出出来るかという段階になるだろう。結論からいえば、それっぽいのはもう実現可能だ。

しかし、だからといってそれが「ありがたいもの」になるかというと微妙でな。というのも、ヒカルの歌唱というのは、ヒカルの作詞作曲と強く結び付いているので、それなりの曲と歌詞を用意しないとそこまで「宇多田ヒカルらしい」歌唱にはならないのよね。

なので、オリジナル曲をヒカルの歌声で制作するのは、技術的にはもう実現可能だろうけど、ちょっと自己満足的なところに落ち着く気がする。ヒカルの作風を模倣できるくらいの作詞家作曲家が生まれてくれば話は別だが。でも、そんな凄い人が出てきたらボーカロイドに頼るよりヒカル本人と直接仕事をした方がいいよねぇ。なのでそこに到るまでのデモ音源作りには大いに役立って貰いましょう。存在意義はそこかな?

で。まぁ先週も書いたっけかな、ヒカル風の歌唱が自然に実現したとしても、残念ながら「常に我々を驚かせる」という意味での「ヒカルらしさ」は出てこないので、我々よりももう少しヒカルから距離のあるリスナーの方がそういった技術を楽しんで使えるかもしれませんわ。

でも、「オリジナルのシンガーが下手な名曲をヒカルのボーカロイドがカバーする」企画は実現したら結構面白いかもしれないのでこれは今後に向けて要検討ですね。でも、それくらいかなぁやっぱり…。