無意識日記々

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ホントは人を選ばない人

週末は藤井風がA.G.Cookを起用した事が話題になっていたようで。彼のインタビューなどは読んでないので詳しくは知らないが、宇多田ヒカルが彼を重用していることが参考になっているかもしれないわね。

んでこちらはblock.fmでのインタビューから。

Q.A. G. Cookと一緒にやってみようと思った最初のきっかけは、何だったんでしょうか。

宇多田:ディレクターさんのおすすめです。彼の音楽についてあまり知らなかったんですけど。とりあえずFaceTimeで話してみたら、すごく良い人で。話も合うし。私は自分でプロデュースもするので、自分のスタイルを全面的に出してくるプロデューサーだと合わないんですよね。でも彼は、私がしたいことを汲んで、理解しようとしてくれる。それを応援してくれるようなスタイルの人だなと思って。

https://block.fm/news/utada_taku_talk

一緒に仕事をするときには、何より性格的な相性が大事だというのは今回よく発言している。それは経験から来てるものだろうことは、上記の『自分のスタイルを全面的に出してくるプロデューサーだと合わない』という発言からもよくよく伝わってくる。これは、過去に一緒に仕事はしたことあるけどその後あんまり続かなかった例などを思い起こさせるわね。

そんな中でも『EXODUS』は印象深い。レコーディングの後半でネタが尽きてきた時にティンバランドを起用して『Exodus '04』などを完成させたが、次作『This Is The One』で一緒に仕事をしたのはスターゲイトとトリッキー・スチュワートだった。そしてその後そのお二方(計3人だけども)ともお仕事をすることはなかった。

踏まえておきたいのは、決してヒカルが彼らとの仕事を後悔してる訳でも訂正したいと思ってる訳でもないということ。特に『Exodus '04』は実質タイトルトラックなのだからアルバムを代表する楽曲という扱いなのでこの出来に後悔があるとは考えづらい。また、『Wonder 'Bout』はティンバランドの“リミックス”・バージョンがアルバムでは採用されている。クレジットはそうなっているけどオリジナル・ミックスについては存在についてすら言及されたことはない。だが初手で彼のリミックスを採用したのだからオリジナル・ミックスより評価をしていた筈だ。

つまり、1回限りのセッションならちゃんと対応して結果を残すことが出来ているのだヒカルパイセンは。それ以降も「自分から頼んで」一緒に仕事をするのを選ばないというだけで。ここらへん非常にプロフェッショナルで、やっぱり仕事の出来る人だなぁという感想をもつ。ただ、上記のような語り口なので「宇多田ヒカルは人を選ぶのだな」という印象をもつ人も多いかもしれない。でも実際は逆であって、少々合わない人であってもしっかり最高の結果を残してきている「全く人を選ばない」タイプであるというのはここで強調しておきたい。ただ現在は、そういった経験を踏まえた上でよりベターな人選をしていく中でA.G.Cookとの仕事が継続しているということなのだと私は思う。

それにしても、サウンド面でもそうだったけれど、上記のプロデューサー人選について思い返してみてもやはり『BADモード』は『EXODUS』を前提とした傑作なのだったということを痛感する。万が一『BADモード』を聴いて気に入ったのにまだ『EXODUS』を聴いていない人がいるのでしたら後学のためにも全力でオススメしておきたいのでありましたとさ。