無意識日記々

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『誰もが私を天使にしたがる』

じゃあ折角なので久々に『Devil Inside』の歌詞を、今回は対訳をメインにして解説してみますかね。

まず大事な当時の背景を。19年前だからね。この『Devil Inside』は2004年にアルバム『EXODUS』で全米デビューしたUTADAの1stシングルであり、また、同アルバムの実質的な1曲目を飾るナンバーだ(『Opening』を数えなければ、ですが)。つまり、当時のUTADAにとって「挨拶代わり」だったと言える1曲。日本では任天堂のCMで流れた『Easy Breezy』が有名だが、アメリカの方ではこの『Devil Inside』が先に先行シングルとしてダンスチャートを賑わせていた。

そんな前提を把握しつつ、冒頭からみていこう。

『誰もが私を天使にしたがる

 誰もが何かをやさしく可愛がりたい』

前回も紹介したこの二行。日本でも「いい子」という認知が定着し、一方全米では無名なUTADAは見た目160cmないアジア系の21歳。ミセスではあったものの(こういう言い回し聞かなくなったな)やはり先入観として「若くてかわいい女の子が歌手デビューしてきた」という風に見られるのだろうなとヒカルが予想しながらの歌詞である。元の歌詞は

『Everybody wants me to be their angel

 Everybody wants something they can cradle』

となっている。『their angel』、「その人たちの天使」という言い回しには言外に「あなたたちにとっては天使かもしれないけれど実際はどうかな?」というニュアンスを含ませてある。『they can cradle』、直訳すると「その人たちが“あやせる”」とかになる。cradleは名詞だと赤ちゃんを眠らせるゆりかごのことだ。この言葉の選び方からしても、「赤ちゃん扱いしないでね? …若い女の子だからって侮るんじゃねーぞてめぇら?」という気迫を感じる。勿論「ェィンジェル」と「クレェィドル」は韻を踏ませてある。

つまりは、「これから私がどんなヤツか見せてやる」という宣言なのだこれは。そこを踏まえつつ次回も続きを見ていこう。