無意識日記々

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『私が燃えること』

『Devil Inside』、続いての歌詞はこちら。

『私が燃えることを人は知らない

 私が燃えることを人は知らない

 私が燃えることを人は知らない

 私が燃えることを人は知らない』

しつこく4回繰り返すこのフレーズ、日本語でもそうなのだが英語の方でもそのまんまだと一瞬意味に違和感を感じる。元歌詞はこう。

『They don't know I burn』

ほぼ直訳になっているが、これが『They don't know "how" I burn』や『They don't know "when" I burn』ならまだわかる。どういう時私は燃えるのかを人は知らない、と。でもいきなり『私が燃える』とだけ言われると戸惑う。情熱的になるとか、怒っているとかそんなん? いろんな解釈が成り立つだろう。

さて、UTADAの歌は一見ラブソングにみえるように仕立て上げられている。爽やかなPop Songである『Easy Breezy』もアバンチュールな恋愛模様(凄い昭和な形容…)を描きつつも、一方でそれは日米の国際関係の隠喩としても機能している。『Devil Inside』もそういう風に多角的に読めなくもないかと考えたときに浮かぶのは英語の

“Playing with fire”

という慣用表現だ。日本語に訳すと文字通り「火遊びをする」で、恋愛的な解釈をするなら「一夜限りの恋」とか「浮気する」とかになる。危なっかしい関係を持つことだね。とすると、この『Devil Inside』の歌詞をラブソングサイドから解釈するなら『I burn』は「I play with fire」、「私だって火遊びするんだよ?」という意味になるかもしれない。

これは、冒頭の『誰もが私を天使にしたがる』というフレーズともよく呼応する。「みんな私をいい子ちゃんだと思いたがってるけど、(道徳的に)危ないこともするのよ?」と言っているわけだ。うむ、跳ねっ返りだなー。

これが当時21歳の若妻が歌ってたと思うだけで背徳感倍増なんだけど、今からこの曲に触れる人にとってはこの背景解説がないとそんな風には思えないかもしれないなど思って語ってみました。まぁでも

曲調が思いっ切り妖しいから雰囲気は伝わってるだろうかな。