無意識日記々

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襲名と継承と

神田松之丞が「六代目 神田 伯山」とかいう大層な襲名をしたそうな。折角松之丞としての知名度が上がってきたところだったのに勿体ない気がするのだけれど、有名になりきる前だったと思えばいいタイミングかもわからない。講談師としての実力は折り紙付きなんだしね。

前に彼がヒカルと同じ1983年生まれだということで15歳当時の鮮烈デビューをみて「何馬身離れてるんだ」と溜息をついたとウェブニュースが流れてきてたが、その年齢で同じフィールドでレースをしているつもりだったのだから彼がその頃から自らの才能に絶対的な自信を持っていただろうことが窺える。今の立場もきっと予定通りなのだろう。なおヒカルは早生まれなので同じ1983年生まれといっても学年はヒカルの方が……って飛び級経験者な上に9月入学だからこの計算無意味なんだよね今更ながら。

で松之丞が、じゃない、神田伯山がこの襲名で「弟子をとらなくてはいけなくなってしまった」と嘆いている、と。そうよね、襲名ってそういう役目も負うんだよねぇ。後進の指導もトップランナーの社会的責務だわな。

ヒカルさんは自分の息子を云々というつもりはないだろう。好きにやらせると思う。マツコがもう一人云々といってプチ炎上したのは記憶に新しいが何も後進に血縁を選ぶ事もあるまい。勿論、三代続く音楽一家だからこそというのはある。バッハ一族は何人音楽家を輩出したんだとかシュトラウスは……とか言い始められる。

ヒカルも「家業を継いだ」と自ら言ってしまっているのだから次に継がせる事も考えないと、と言うのは可能だが勿論そこは照實さんともどもアーティスト稼業がそういうものではない事は知っているだろう。他の家業では土地や財産や人脈などそのまま継承できるものは沢山あるが、音楽家著作権管理くらいか。それこそ誰がやってもいい。マイケル・ジャクソンザ・ビートルズの版権管理をしていたのは有名な話だわぃさ。

だが子育てを通じてヒカルも後々のこと、未来のことを考える機会も増えていそうだ。この間のEnsemble FOVEとの「自分の音楽を聴いて育ってきた世代との共演」を通して自分の立ち位置を再確認したかもしれない。ファンとしてはそういうことに時間を割くよりは己の活動に邁進して欲しいなーなんてワガママな事も言いたくなるが、そこは自然な流れに任せるしかないよね。昨日も野村克也が亡くなった報を受けて彼に影響を受けた野球選手が山ほど活躍中なのも皆が知るところとなった。文化的遺伝子の継承は、いつでも目の前の課題なのです。